イラクの首都バグダッドに降雪、半世紀以上ぶりか
2008年01月13日 19:00
【BBC News】が伝えるところによるとイラクの首都バグダッドとその周辺で1月11日早朝、同地域としてはきわめて珍しく降雪が観測された。バクダッド市内での降雪記録は過去にないとも伝えている。
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イラクでは北部のクルド人自治区以外ではほとんど雪は降ることがない。降っても雨、せいぜいあられ程度。先週末は都市部でも非常に冷えることは事前に予想されていたものの、雪が降るとは想定されていなかったようだ。
バグダッドに住むAysar Khaled氏は「目がさめると外に雪が降っていた。驚いた私は家族全員を起こし、雪を見るようにと声をかけたんだ」とコメントしている。「バクダッドの人はみな喜んでいる。バグダッドで雪が降ったのはこれが初めてだ。雪とはとても美しいものなのだね」。
気象台のデータでは「バクダッドの降雪ははじめて」ということだが、63歳のMohammed Abdul-Hussein氏によれば、同氏が若い時に1940年代前半にバクダッド北部の近郊で雪が降ったのを見たことがあるという。確認はとれないものの、それから計算したとして少なくとも半世紀以上ぶりの降雪ということになる。それにHussein氏は「今日降った雪はとても美しい。想像以上のものだと」とも述べ、雪の美しさに飲み込まれているようですらあった。
Hussein氏同様に多くの市民が雪の美しさに魂を奪われたようで、雪が降った11日には普段騒乱が続いているバクダッド市内においても、普段は絶えることのない銃声も聞こえず、騒ぎもおきていないという。
ある80歳の老母は「イラクで雪など見たことないよ」と伝えている。そしてその言葉を伝えた男性は「この雪が何らかの神の啓示かどうか、それは分からないね」とも語っていた。
実際この雪は積もる事はなく、ほとんどが地面に溶けてなくなってしまったという。そして住民にとっては普段経験したことの無い寒さに体をふるわせる人も少なくなかっただろう。しかしそれにも増して、わずかな時ではあるが静けさと安寧を取り戻した市内では、多くの住民が心安らかな時を過ごしたことだろう。その観点では、神からの啓示ではなく「贈り物」だったに違いない。
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