再生速度を変えても声はそのまま! 音質変えずに再生速度を制御する「C-TST」開発
2008年01月12日 19:30
CRIミドルウェアは1月9日、音質の変化を出来るだけ抑えた形で再生速度を制御できる新技術「C-TST(CRI Time Stretch Technology)」を開発したと発表した。[任天堂(7974)]の携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」の開発向けミドルウェアとしてすでに発売中の『救声主 for NINTENDO DS』の追加新機能として提供する(【発表リリース】)。
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音声は再生速度を変化させると音質が変化し、別人のような声に聴こえてしまう。そのような現象をテープの早回しや専用ソフトで体験した人は多いはず。会話内容が速くて聴き取りにくかったり、声優がしゃべるシーンで「その声」を聴きたいのにゲーム進行のためキャンセルしてしまうということも多い。逆に再生速度で音質が変化することを利用し、別人のように聴かせたり、有名な人の声に似せるという遊びもあるほど。
今回開発された「C-TST」という技術では、音質の劣化を出来るだけ抑えた上で再生速度を変えることができる。この技術を使えば、例えばゲームで字幕(テロップ)付の画面で声優がしゃべるシーンがある場合、「字幕の速度を速くして音声スキップ」ではなく、「字幕速度に合わせて音声も速める」ことが可能。つまり「ゲームを素早くプレイしたい人でも声優の声を(それなりに)楽しめる」といった選択肢を提供できるようになる。速度を速くしても今までのような甲高い声になることもないので、違和感なく声を楽しむことが出来る。
リリースによれば音質をほとんど変えずに変化できる再生速度はプラスマイナス30%の範囲。秒数ならば元の音声が10秒の場合7秒から13秒の範囲で再生できる。また、再生速度はリアルタイムで自由に変更可能なので、特定のフレーズのみゆっくりと、それ以外は高速で、といったことも出来る。もちろん日本語だけでなく英語など他言語でも可能。
【紹介ページ】では具体的なサンプリングデータを試聴できる。実際に聴いてみると、確かに従来の速度変化で発生する音質変化が起きず、ほぼ元の声と分かるレベルで聴き取れるのが分かる。かわいい声の声優のセリフを早回ししても宇宙人のように、遅いスピードで聞いてもだみ声のオヤジのように聴こえることはない。
この技術はニンテンドーDSの開発部門向け専用とのことで、一般の人は利用できない。じきにこの技術を用いたDS用音声出力ソフト(恐らくは教育系や脳トレ系だろう)が登場するに違いない。ただ、例えばブログやサイトで音声によるデータを提供している(例えば講座やニュースなどをポッドキャスティングとしてサービスしている)人には、非常に有益そうに見えるツールであることも事実。開発部局以外でも使えるよう、今後何らかの形で市販化することを検討してほしいものだ。
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