サイズは自家用車並! 1/6スケールで世界最大の列車砲「ドーラ」を作りし比類無きジオラマ愛好者たち

2008年01月02日 19:00

80cm列車砲 ドーラ(Dora)イメージ先に【第二次大戦中のドイツ軍軍用列車の情景写真大量に発見……!?】でホンモノそっくりに作られた、ドイツ軍の1/6スケールモデルの写真を紹介した。その精密さと迫力に(当方を含む)多くの人が圧倒され、世界の広さと趣味の奥深さをため息交じりで実感したものだ。その時は投稿写真系フォーラムをおおもとのソースと紹介していたが、写真に描かれていたロゴや、昨年末の読者投稿により、真の原典が明らかになった。それがこの【Kampfgruppe Von Abt】。ドメイン名から推測するに、イギリスに本拠地を置いているようだ。

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模型マニアなナイスガイたち

トップページのサイト説明には次のように記載されている。いわく、

「このサイトはKampfgruppe Von Abtチームによって作られた1/6スケールのフィギュアやジオラマを披露するウェブサイトです。私たちはこのジオラマを使い、高品質でホンモノそっくりな写真を作ることに生きがいを感じています。私たちの目的は、すべての年齢層のモデラーやコレクターなどを堪能させる情景を生み出すことにあります。私たちが楽しんでいるように、私たちの作品を見て、多くの同好者がそれぞれの思い描いた情景を再現するべく、自分たちの腕前を発揮するよう奮起してくれれば幸いです」


とのこと。要は「自分たちと同じ趣味を持つ人たちに向けたアピールと、勇気付けのための展示場」というところだ。

このチームがテーマとしているのは、第二次大戦のヨーロッパ方面での戦い。自らの地域が関与していた戦いでもあり、資料が大量に残っていること、そして彼ら自身も含めて愛好者が多数いることがその理由だろう。

今のところ合わせて20以上もの作品群が用意され、写真が掲載されている。小さいものは【装甲車内の1シーン】【機関銃チーム】から、大きなものは先に取り上げた【停止している軍用列車】。そしてデカブツ試作戦車として有名な【重戦車マウス】

重戦車マウス。
重戦車マウス。
前回の写真とは別の、冬の情景における軍用列車の情景。元サイトでは近況感あふれるサウンドも流れる。
前回の写真とは別の、冬の情景における軍用列車の情景。元サイトでは近況感あふれるサウンドも流れる。

史上最大の列車砲を史上最大の模型で再現

大きい、という意味ではもっとも大きいと思われるのが、今回投稿のあった「80cm列車砲 ドーラ(Dora)」。色々なアニメや漫画でそのまま、あるいはイメージモデルとして登場しているので姿かたちを見たことがある人も多いと思うが、第二次大戦中にドイツ軍が実際に使用した、空前絶後の列車砲(列車で移動する巨大な砲)。

全長は約43メートル、全高11.6メートル。重さは1.35トンで砲身長は29メートルほど。口径(弾の直径)は80センチのカノン砲で、射程距離は30~50キロメートル程度。意外だが、あの戦艦大和の主砲とほぼ同じ程度である。

撃ち出される砲弾は榴弾(内部に火薬が詰められ、目的地点でさく裂する)が4.8トン、徹甲弾(鉄のかたまりで、装甲やコンクリートなどの堅い部分を破壊する)が7.1トン。一時間に3~4発撃てれば良い方で、移動や射撃、周辺警備など各種要員には1個師団(1万人強)の人員を必要とした。実戦では1942年のセバストポリ要塞攻略戦などで用いられている。

Kampfgruppe Von Abtチームではこの巨大兵器も当然1/6スケールの模型として作成している。単純計算では1/6スケールだと全長が7メートル強、全高が約2メートル、砲身長が4.8メートル強となり、下手するとスケールモデルどころかそのまま実兵器としても通用しそうなサイズになる。

作業工程は【こちらに描かれている】が、さまざまな1/6スケールモデルを創ってきたこのチームも、この大きさには少々面食らったようで、試行錯誤を繰り返しているようすがうかがえる。1/35スケールを元に1/16スケールモデルを作り、そして最終的に(強度の問題など超えねばならないハードルは数多くあったものの)1/6スケールモデルの「80cm列車砲 ドーラ(Dora)」作成に成功した。

最終的に出来上がったのが【こちらのスライドーショー】で見ることが出来る。



「80cm列車砲 ドーラ(Dora)」1/6スケールモデル

「80cm列車砲 ドーラ(Dora)」1/6スケールモデル
「80cm列車砲 ドーラ(Dora)」1/6スケールモデル。元サイトでは製作途中のようすも事細かに掲載されていて、これが合成写真でないことが分かる。

実物が空前絶後の兵器なら、この模型も恐らくは空前絶後のインパクトを持つものとして多くの人の腰を抜かさせることだろう。ましてや実物を目の前で見ることができる人なら……というくらいである。


ちなみにこれらの模型を作り写真を撮った人たちは、どのようなスタイルで撮影をしたのか。その情景についても【専用の1コーナーを設けて解説されている】。見る限りでは普通のプラモデルやジオラマを作るのとあまり変わらず、単にスケールアップさせているだけのようにも見える。とはいえ、大きさは段違いで野外での作業ということもあり、見た目はまるで映画の撮影のようですらある。

そして何よりも印象的なのは、作業に携わっている人すべての顔が真剣さと笑顔で満ちあふれていることだ。彼らが皆、心底から模型作りや情景設定、写真撮影などのジオラマに関わることが好きなことが分かる。

彼らのひたむきさ、情熱があってこそ、これらの素晴らしい写真が出来上がったのだろう。


(最終更新:2013/08/18)

【情報提供:かむ氏(一言掲示板内)】。Thanks!

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