零細企業の給与は7年連続減少中
2008年01月03日 19:00
厚生労働省は2007年12月21日、【2007年における毎月勤労統計調査特別調査結果の概況】を発表した。従業員5人未満の零細企業に関する賃金・労働・雇用状況などを調べ、毎月実施している5人以上の企業のデータを補完する目的で年一度調査しているものだが、これによると零細企業に勤める人の基本給と残業代などは合わせて19万0482円となり、前年同月比で0.1%の減少となった。これは7年連続しての減少となる。
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今回の調査は2007年7月の給与と、2007年の賞与について調査が行われている。調査対象は従業員5人未満の企業で、2万2199事業所でうち2万0024事業所が回答している。
数字的な概要は次の通り。
・月給(基本給+残業手当)……19万0482円(前年同月比-0.1%)
※男子は26万1767円、女子は13万7530円
※5人以上の企業平均は26万9810円、これを100とした場合零細企業は70.6
・賞与……21万4629円(実質1.13か月分、前年同月比-2.2%)
・出勤日数……21.1日/月
※5人以上の企業平均は19.9日
・短時間労働者(1日6時間未満の労働をする人)の割合……26.9%(前年比±0)
※19歳以下は57.0%(-2.5%)、20歳代は19.2%(+1.0%)、30歳代は22.7%(-0.7%)など
※※ちなみに月給は「所得税や各種社会保険料等を差し引く以前の金額」であることに注意。手取りはここからさらに少なくなる。
特に飲食店や宿泊業における給与の下げ率が高いのが気になる(給与は-5.6%、賞与は-24.5%)。また、短時間労働者の割合そのものは変化していないが、20歳代に限ると1.0%増加しているのも不安要素である(それだけ正規・定時間雇用される20歳代が減っているということにもなる)。
給与に焦点を絞り、「前年比の変化」を零細企業と5人以上の企業それぞれについて比較すると次のグラフになる。
給与額の前年比の推移(零細企業と5人以上の企業それぞれ)
過去10年間において一般企業は上げた年もあったが零細企業は10年前に上げた限りで、以降はずっと下げたまま、2000年(平成12年)のプラスマイナスゼロも含めると9年連続、それを除外しても7年連続して給与水準が下げ続けている計算になる。賞与についても同じようなもので、こちらは9年連続となっている。
物価水準の上昇や雇用率も合わせて考慮すると、少なくとも規模の小さな企業の従業員に対しては、景気回復の言葉などどこ吹く風、という状況なのは間違いなさそうだ。
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