ソシエテ・ジェネラル銀行の49億ユーロ不正取引は過去最高の取引損失額か

2008年01月26日 12:00

株式イメージ【ブルームバーク】は1月25日、先に【仏大手銀行のディーラー、先物不正取引で過去最大規模の7700億円の損失を銀行に与える】で報じたフランス大手銀行ソシエテ・ジェネラル(【Societe Generale】)が発表した、社員による不正な取引の損失49億ユーロ(7750億円)に関連し、過去に公表された取引の損失の中でもっとも額の大きいものであることを明らかにした。過去の巨額取引損失一覧を掲載したが、その中で最高額だった。

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今事件は同銀行のディーラーJerome Kerviel氏による株価指数先物の不正取引で49億ユーロ(7700億円)の損失が発生したもの。同行のダニエル・ブトン(Daniel Bouton)会長兼CEOは責任をとる形で辞意を表明したが、取締役会が慰留している。個人による不正における金額としては過去最大規模のものになる。

銀行側の説明によればJerome Kerviel氏は2007年から2008年の頭まで、与えられた権限を超えた額のヨーロッパ株価指数先物取引に関与し、さらにその不正を隠すために架空取引をねつ造していたという。先週末に事態が発覚し、保有していたポジションの整理をあらかた終えた時点で損失額を確定・事態について公表した。世界規模で株価が下落した中で、不正が発覚した形だった。氏は銀行側の調べに対して自分の不正を認め、すでに銀行側は彼を解雇している。現状では単独犯ということだが、システムのねつ造の仕方があまりにも巧みで複数犯によるものでは、との話も出ている。

リストは上記リンクを見て確認してほしいが、商品取引なども含めた最大の巨額取引損失は、これまでは2006年にAmaranth Advisors LLC社による天然ガス取引失敗による66億ドル(7100億円)が最高だった。他にも主なものを抽出してみると、

・1995年……イギリスのベアリング銀行、トレーダーのニック・リーセン氏による14億ドルの損失
・1995年……大和銀行、無断取引による11億ドルの損失公表
・1996年……住友コーポレーション、浜中泰男氏の無断銅取引で26億ドルの損失公表
・1998年……Long-Term Capital Management(LTCM)、ロシアの債務不履行で40億ドルの損失


などがある。それぞれの時点での為替レート、物価などを考慮しなければならないため一概に比較はできないが、世界を震撼させ国家総動員的な態勢で手が打たれたLTCMですら今回のソシエテ・ジェネラル銀行の損失額にはおよばないことになる。

ソシエテ・ジェネラル銀行では即時に第三者割当増資を行い損失の手当を実施、混乱を最小限にとどめることに成功している。とはいえ「もしも」のことを考えると、背筋がぞっとしてくるのは当方だけではあるまい。


(最終更新:2013/08/16)

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