気温が高く冬物衣料などの動きが鈍い…2007年12月度のチェーンストアの売上高、前年同月比-1.8%

2008年01月23日 08:00

デパートイメージ【日本チェーンストア協会】は1月22日、チェーンストア(スーパーやデパートなど)の2007年12月度における販売統計速報を発表した。それによると例年より気温が高く冬物衣料などの動きが鈍かったことから、総販売額は軟調で、店舗調整後の総販売額は前年同月比で1.8%のマイナスを記録した。ただでさえ冷え込み気味な景気なのに、さらに天候に振り回される結果となったようだ。(【発表リリース】)。

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今調査結果は協会加入の79社・8806店舗に対して行われている。店舗数は先月比で16店舗増、前年同月比で59店舗減。売り場面積は先月同様に増加しており前年同月比101.6%と1.6%ほど増えている。

店舗面積は増えているものの売り場1平方メートルあたりの売上高は前年同月比で97.0%と先月同様に前年同月比でマイナス状態が続いており、一方で従業員数は102.5%と増加している。先月と同じく採算性の悪化は継続しているようだ。

以上のような状況は今月を含めて五か月ほどの間続いており、チェーンストアをとりまく環境が以前として厳しいままであること、人件費が経費削減の中心に据えられている可能性が高いことが分かる。「売り場面積が増えてもそれ以上に面積単位の売上高が減っている」という現状はむしろ「面積を拡大しても売上の増加には結びついていない」と表現すべきなのだろう。

経営側としては集約化による効率向上と顧客サポートサービスの拡充(従業員の増加)で客足を増やし単価を上げようと努めてはいるが、成果は現れていない。この数字が何らかの形で反転し、改善が見受けられない限り、チェーンストア全体の不調は続くのかもしれない。またこの構図はチェーンストアだけの問題ではなく、小売業全体の問題ともいえる。

分野別では前年同月比でそれぞれ次のような値が出ている。ちなみに数字はすべて店舗調整後(1年前のと比較するため、昨年存在しなかった店舗の分を除いた値)によるもの。

■総販売額……1兆3908億0950万円
・食料品部門……構成比:59.2%(前年同月比100.2%、△0.2%)
・衣料品部門……構成比:12.5%(前年同月比93.3%、▲6.7%)
・住関品部門……構成比:21.5%(前年同月比95.4%、▲4.6%)
・サービス部門…構成比:0.4%(前年同月比93.2%、▲6.8%)
・その他…………構成比:6.4%(前年同月比99.2%、▲0.8%)


暖冬傾向が
冬物売上を押し下げ。
住関品の売上低下も
先月同様。

12月は冒頭でも述べたように気温が高いまま推移し、昨月後半にやや持ち直した冬物衣料品の売上が鈍いまま推移してしまった。コートやジャケットなど、この時期にしか売れない商品が不調だったのが痛い。「前年同月比マイナス6.7%」という数字に、そのキツさが現れている。

また先月よりはやや回復が見られるものの、住関品の下げも大きい。特に「家電製品」(▲5.9%)「その他商品」(▲7.8%)の下げが厳しい。それぞれの具体的商品名を見てみると、前者は「石油暖房」「冷蔵庫」「洗濯機」が不調、後者は「ゴルフウェア」「スポーツウェア」「園芸用品」が不調と説明されている。「エアコン」「テレビ」「レンジ」などが堅調なのは幸いだが、暖冬であることに加え、石油価格の高騰が住関品にも影を落としているようにも見える。また先月同様「園芸用品」が不調なのが気になる。さらに数字的には「家電製品」より下げ幅は小さいものの、「家具・インテリア」は学習机などの季節家具以外はほぼ壊滅状態にある。

改正建築基準法による
住宅着工の減少が
引き続き
住関品売上の
大幅減少に
関与している可能性。
ただし山場は越えた?

【改正建築基準法で影響を受ける周辺業界たち】でも説明したように、建築基準法の改正による行政側の不手際で、新築住宅の建築のペースは大幅にダウンしている。最悪期は脱したものの、この影響がチェーンストア業界における、特に住関品関連の売上を押し下げている可能性は高い。

景気全体も底打ちどころか底を突き抜ける形で低下する傾向を見せているし、消費者の懐具合も寂しい状態は続く。チェーンストア全体の売上から、経済そのものの様子がかいま見れるような気すらしてくる。


(最終更新:2013/08/16)

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