1日10分被るだけでアルツハイマーの症状を改善できるかもしれないヘルメット、イギリスで開発
2008年01月26日 12:00
【ScienceDauly】などが伝えるところによると、イギリスの【Sunderland大学】の研究チームが「脳内の体内時計を逆転」させ「痴呆や記憶喪失の症状を改善させる」かもしれない研究成果を生み出した。赤外線を用いることで脳の学習機能の向上や認識機能にはずみをつけるかもしれないという。その研究成果が事実だとすれば、脳医学上において劇的な進歩が果たせることになるとして注目を集めている。現在研究チームではアルツハイマー病の治療に活用できないか、検討を進めている。
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研究チームは低出力(1072nm)の赤外線が、脳の学習能力を高めることを発見した。このレベルの赤外線は通常の日光浴において受けうるもので、安全性が確認されている。また現在は口辺ヘルペスの治療に用いられているとのこと。
チームでは開発された「赤外線掃射ヘルメット」を1日10分間かぶることで、初期段階の痴呆症患者が4週間以内に認識能力面における改善効果が見られると主張。今年の夏にも対人テストをはじめる予定。医療関係者の中にはこのヘルメットにより、痴呆症の進行をとどめ、さらには症状を改善させる効果が出るよう期待している者もいる。
Gordon Dougal博士と研究チーム、そして「赤外線掃射ヘルメット」
このヘルメットを開発したのは、口辺ヘルペスの治療器を開発した会社のGordon Dougal博士。博士は口辺ヘルペスの治療に使用する低レベルの赤外線を用いる際、その赤外線が「ヘルペスを治療する細胞」を活性化する効力があることから、「人間の脳内にも活用できないか」というアイディアを思いついた。
大学内で多くの支持を得たGordon Dougal博士は、研究にまい進。研究成果について
「年をとると細胞は自己修復機能が弱まってしまう。それこそが老化の原因。器官機能は衰え、脳内では記憶の劣化を導いてしまう。しかしもしその細胞の自己修復機能をよみがえらせる技術があり、その技術が非常に簡単に生み出せるとしたらどうでしょうか」
「日光がすりガラスを通り抜けるように、赤外線は人体の組織内に容易に浸透するのです」
「1日10分赤外線放射を受けるだけで、現在痴呆の進行を遅らせるしかない治療から、進行を止めるだけでなく、部分的には進行を巻き戻すことすらできるでしょう」
とコメントしている。
またこの研究に際し神経科学者のPaul Chazot博士も参加、成果を確認すると共に「こんな手法と成果は今までみたことがない。まったく新しいものだ(The results are completely new - this has never been looked at before.)」と言及している。今後博士の研究は、イギリスの医療科学支援会社【CELS】の支援を受け、続けられるとのこと。
ヘルメットの外見を見るとどうにもうさんくさく、エイプリールフールのジョークのようにすら見受けられる。しかし実際に口辺ヘルペスの治療器にも用いられる技術を応用していることや、支援会社のサポートを受けていることから、あながち冗談と言い切ることもないようだ。仮に赤外線の掃射で痴呆症やアルツハイマー症の改善、さらには治療が可能となれば、多くの人の救いになることだろう。
今夏以降の対人実験で成果が得られれば、その成果と共に大々的に報じられることだろう。続報に期待したいところだ。
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