ジンバブエ政府、1000万ドルの紙幣を発行・ただしハンバーガー1つも買えません
2008年01月19日 12:00
【DailMail】などが伝えるところによると、アフリカ南部にあるジンバブエ(Zimbabwe)で1000万ジンバブエドルの紙幣を発行することになった。他に100万・500万ジンバブエドルも発行される。これまでは2007年12月に導入された75万ジンバブエドル紙幣だった。ただし1000万ジンバブエドル紙幣1枚でも闇市場為替レートでは2ポンド(420円)程度にしかならず、首都ハラレ(Harare)の喫茶店で売っているハンバーガー1個の値段1500万ジンバブエドルの2/3相当額でしかないという。
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【1週間で物価が4倍!? 経済危機のジンバブエで超インフレ状態・年間10万%の可能性も】でも報じたように、ジンバブエでは経済危機が深刻な状態にあり、「超」がつくほどのインフレが進行中。日常生活品の値上がりは日々続いており、1月には約3倍を記録した。ジンバブエ政府では年間物価上昇率は2万5000%(!)と発表しているが、経済学者などによれば実際には15万%に達すると見ている。先の記事では「10万%の可能性も」としていたが、実際には(公式ではないものの)その5割り増しを果たしてしまったことになる。日本円で例えるなら、20円のチロルチョコが1年間で3万円になる計算。また、2006年8月には旧通貨を1/1000に替えるデノミネーションを実施している。
政府側は昨年、1週間ですべての商品やサービスの価格が3倍に跳ね上がったあとに価格の値上げそのものを禁じる物価統制を行ったが、状況の収拾にはいたらなかったどころか売り惜しみを招き、経済の混乱は加速化。さらに農業政策の失敗で農作物の生産量が激減したり、野党勢力を強権発動で封じ込めるなど、国内外から反発を招いている。そして失業率の向上や各種物価の実質的上昇、外貨不足などで経済は混迷を極めているとのこと。
今回の措置にあわせ、政府側では一日に銀行から引き出せる額を5000万ジンバブエドルから5億ジンバブエドルに増やしている。また兵士や警察など一部公務員には「彼ら制服組が銀行に列をなして並ぶのは周囲に不安を与える」とのことで、別途のルートで給与支払が行なわれるとのこと。そしてさらに物価が上がれば、1000万を超える額面紙幣の発行もありうると政府側ではコメントしている。
歴史上の世界的インフレーションというと、第一次世界大戦後のドイツが有名な話。この時は100兆ドイツマルクが発行された。また、第二次世界大戦後のハンガリーでは、1垓ペンゲー紙幣も発行されている(1垓=10の20乗)。これらと比べればジンバブエのインフレも「まだまだ」という感があるが、何もインフレの世界記録を競っているわけではないし、当事者にとっては「たまったものではない」ことに違いはない。
(最終更新:2013/08/18)
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