サブプライムローン問題対策の救済共同基金「Super-SIV」の設立見送りへ・シティ、BofA、JPモルガン3行が表明

2007年12月23日 12:00

株式イメージサブプライムローン問題を解決する手段の一つとして注目されていた救済共同基金「Super-SIV」について主軸の大手アメリカ3銀行「シティグループ」「バンク・オブ・アメリカ」「JPモルガン・チェース」は12月21日共同で、「現時点での」基金設立を見送ると正式に発表した(【発表リリース】)。

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今回設立する予定だった機関投資家救済資金(Super-SIV)とは、金融機関が傘下におさめている資金運用会社(SIV)がサブプライムローン関連証券の「焦げ付き」で首が回らない状態になっているのを救うために構想されたもの。「シティグループ」「バンク・オブ・アメリカ」「JPモルガン・チェース」が舵取り役を果たし、アメリカの財務省も後押しを行い、SIVから関連証券を買い取って金融信用不安を解消するものとされた。当初は1000億ドルの資金で設立される予定だった。

各行が独自にSIVを救済するなら
共同救済基金Super-SIVは
現状では不必要。
但し今後も監視は続けられ
必要ならば設立を検討する。
(米主要3行共同発表)

しかしこの構想も【最大で1兆6500億円・サブプラ問題解消基金に日本のメガバンへ協力要請】にあるように参加予定の金融機関が「独自で切り抜けるから」との理由で一つ抜け二つ抜け、資金規模も当初の1000億ドルから500億ドル、さらには300億ドルにまで下方修正され(一部は正式発表にあらず)た。

前後してヨーロッパや日本の金融機関に対して行なわれたSuper-SIVへの出資も肯定的な意見が得られなかった。これは各行共にそれぞれのグループ内における自主再建の動きが進んでいたのが原因。各金融機関傘下のSIVが会計上は帳簿外に位置するため、「損失はあるが情報が開示されない」状態は問題だとして(サブプライムローン関連でよく問題視される「損失がどれだけあるのか分からない状態」を生み出す一因)、株主などからSIVの早期処理・情報開示を迫る声が強まっていたからのようだ。

さらに12月13日にはシティグループの新しい代表に就任したビクラム・バンディット氏が経営改革の一過程として自社関連のSIV7社をすべて自社のバランスシート(貸借対照表)上に移して処理をすると発表、Super-SIVを支えるはずの3本柱のうち1行自身も「自社解決」の方向に動き出していた(【発表リリース】)。

リリースでは3行のSuper-SIVへの不参加=基金不成立について、

「SIVの経営安定化は市場の信用不安を解決するのに不可欠。さまざまなリサーチをしした結果、『現状においては』Super-SIVは必要でないと判断するに至った。ただし今後も設立準備体制の維持と市場への監視は続けられ、必要な状況になれば設置を再検討することになる」


と説明し、各金融機関が独自策でそれぞれのSIVを救済する現状であれば、共同救済基金Super-SIVは必要ないと結論付けている。

今後各行の対策が(明確な情報開示と共に)どこまで進むのか、そしてその対策が金融市場の信用回復にどれだけ貢献するのか。体力のあるところは良いが、体力の無いところが独自処理をするとなれば、必然的に業界再編成へのきっかけにはならないか。各金融機関が処理をする際に必要となる資金の調達元の選択と共に、気になるところではある。


(最終更新:2013/08/18)

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