中国で「人から人へ」の鳥インフルエンザの感染の疑い発覚
2007年12月20日 08:00
厚生労働省が12月10日に、中国江蘇省において「鳥から人」ではなく「人から人」に鳥インフルエンザ(H5N1型)の感染が起きた可能性があると報じていることが明らかになった。厚生労働省ではこれを受けて同日から、入国者に対する検疫体制の強化も実施している(【発表リリース】)。
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鳥インフルエンザ(特にH5N1型)は感染力・生物への影響力が極めて高く、日本国内でも鳥から鳥への爆発的感染が何度か報じられているのでご存知の人も多いはず(日本国内では鳥インフルエンザの「人間での発症事例は無い」)。現在各国政府・保険機関が危惧しているのは、この鳥インフルエンザが変移し、「鳥から人」ではなく「人から人」の感染力を持つ「新型インフルエンザ」になること。もしその変移が起きてしまうとその時点では人間には免疫力が無いに等しい(何しろ「新型」なのだから)ため、「パンデミック」と呼ばれる大感染につながる可能性がある。
今回厚生労働省からの発表が確認されたリリースによると、中国において11月24日に発症した江蘇省在住の24歳男性について「発症前に病気の鳥に接触していない」「発症前に父親が鳥インフルエンザに感染していたことが確認された」などの情報が、中国政府からの話として記述されている。この情報を総合すると、該当男性が父親から感染した可能性は高く、「人から人に鳥インフルエンザが感染した」パターンと現時点では推測される。
厚生労働省ではこれを受けて、同日から既存の検疫体制に加え、「インフルエンザのような症状を持つ者に対する確認事項において、『中華人民共和国からの入国者については、江蘇省南京市に滞在していたか』の確認」「確認事項の該当者について鳥インフルエンザの感染の検査を実施」を追加している。
似たような事例では昨年インドネシアにおいて「人から人への感染」が疑われるパターンがあったが、この場合は家族内感染に留まり、それ以上の拡大は確認されなかったという。
日本周辺地域以外の国でもちらほらと「人から人への感染」が疑われる鳥インフルエンザの発症事例が報告されている。確率論から考えるに、「人から人へ」感染する能力を持つ鳥インフルエンザ、すなわち新型インフルエンザが未来永劫に広まらない可能性はあまり高くない。いつ何時事態が「進行」しても良いように、日ごろから出来る範囲での備えはしておいた方がよいだろう。
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