携帯電話で一番検索されているキーワードは……

2007年12月02日 12:00

モバイルイメージ【アイレップ(2132)】などは11月29日、携帯電話における検索の利用実態に関する調査結果を発表した。それによるともっともよく検索されているキーワードは「着うた」であることが明らかになった。以下「画像」「歌詞」などが続いており、特定の事象に対する検索よりも、携帯電話でよく使われる機能のデータ拡充のために利用者が検索機能を用いていることがうかがえる(【発表リリース】)。

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今調査は9月から11月(各項目毎に異なる)に行なわれたもので、その他の対象データについては非公開。

「機能拡充」のためのデータ取得用が上位に並ぶ検索キーワード

10月におけるキーワードの検索数ランキングによると、「着うた」という言葉が圧倒的な検索数でトップに立ったという。

■検索キーワードランキング(具体的検索数は非公開)

1.着うた
2.画像
3.歌詞
4.ブログ
5.動画
6.映画
7.恋空
8.YouTube
9.すべらない話
10.グルメ


7位の「恋空」(映画化もされた携帯小説)や9位の「すべらない話」はともかくとして、上位には携帯電話の基本機能ともいえる「着うた」や「待ち受け」を拡充するための、あるいはそれに関するキーワードが続く。公式サイト経由でいくらでも着うたや待ち受け画像は手に入りそうなものだが、携帯電話の利用者にしてみれば少しでも多くの、少しでも珍しいものを見つけて自分のものにしたいのだろう。

ちなみに「着うた」の検索回数は月間5822万回。「ブログ」や「動画」が775万回程度であるということだから、いかに「着うた」が検索されているかがうかがい知れる。

またデータではパソコンで大いに検索されているものの、携帯電話上では再生機能がいま一つで普及は当分先になりそうな動画投稿サイト「YoutTube」、最近流行った「ペン回し」「脳内メーカー」など、時節柄を反映したキーワードが複数見受けられる。携帯電話利用者層におけるトレンドを探る意味で、このリストは非常に興味深い。リリースでも32位の「旅行」という言葉に着目し、今後旅行業界における携帯電話分野での飛躍を期待している。

携帯電話の検索、複数キーワード? 単数キーワード??

携帯電話において検索をする際に「サイト検索」をする人は4割に過ぎず、残りの6割は画像や動画などの専門分野における検索を利用しているという結果も出ている。目的意識がはっきりしており、サイトか動画が画像か、どのような形での結果がほしいのかをあらかじめ決めている利用者が多いということなのだろう。

それでは少しでも早く目標の情報を検索結果として出すためにもっとも使われる手法「複数キーワードにより検索」はどれほど使われているのだろうか。今調査結果では意外なデータが出ている。

■検索キーワードの掛け合わせ語数

・1語……86.7%
・2語……13.0%
・3語……0.3%


ほとんどの人が1語のみの検索という結果。先の「着うた」なら単に「着うた」としか検索せず、「トップテン 着うた」「モー娘 着うた」などのようにある程度ターゲットを絞り込める検索はほとんど使われていないことになる。リリースではこのような結果が出た理由として「打ち込みがしにくい」「利用者の検索サイトの機能認知度が低い」「複数検索の精度が低い」などを挙げている。

当サイトでも連動掲載している携帯版において、併記している一言掲示板に「いかにも検索キーワードとして入力したような言葉」が投稿されていることがある。恐らくは四角い入力項目があったので検索機能なのでは、と勘違いした人が書き込んでしまったのだろう。携帯電話ユーザーのITスキル(能力)はパソコンユーザーのそれより幅広い。中には説明もよく読まずに「窓が開いている、検索機能だ」と思う人もいるに違いない。

そのような実例があることを考えると、携帯電話における検索サイトの機能認知度が低い、という事由も分からなくはない。

以前の調査結果では「携帯でも複数キーワード検索が主流」だったような……?!

ただし【7割強が「複数キーワードで検索」・検索ポータルサイトは絞込みが日常化】(他にも【ケータイ検索はヤフー>グーグル>公式・絞込み検索を使いこなす時代へ】なども類似例として挙げられる)にもあるように、似たような調査を別機関が行なったところ「7割以上の人が複数キーワードによる絞込み検索を使いこなしている」という結果が出ている。今回の調査結果とはまったくの正反対。これはどういうことだろうか。

いくつかの理由は考えられる。まず1つは「対象検索エンジンの違い」。先の「7割以上が複数」の場合はヤフーやグーグルなど多数に及ぶ検索エンジンを対象にしている。一方今回の記事のものはYICHAという特定の1検索機能によるもの。インターフェイスの違いなどが調査結果を違えさせている可能性がある。

パソコン併用の携帯利用者は
複数キーワード検索を使いこなす。
携帯電話オンリーの携帯利用者は
単数キーワード検索をメインに。

そして恐らくはこちらの方が主要な理由だと思われる理由が、パソコンを利用せずに携帯電話だけてネットを利用する「完全携帯層」と、パソコンも多分に利用する「パソコン併用層」との違い。先の「7割以上が複数」の結果では、パソコン経由での調査を行なっている。つまり「パソコンも自在に使える人」が対象であり、パソコン上における検索サイトの便利さ、使い方を十分に知っていて、その上で携帯電話も使いこなしている人の意見。これはいわば「パソコン併用層」ともいえる。

一方今回の「9割近くが単数」では、検索エンジン側からのデータ取得の結果。検索機能を使っている人に「パソコン併用か」「携帯電話のみ使用しているか」をたずねるわけにはいかないから両派の層が入り混じっていることになるが、YICHA社のエンジンは基本的に「モバイル検索向け」であるため、パソコンからの利用データは入っていない。少なくとも「7割以上が複数」のJapan.Internet.Comの調査結果よりは、「完全携帯層」の割合が多い。

つまり「携帯電話利用者のうち、パソコンも併用する人は複数キーワード検索も使い慣れているが、携帯電話オンリーの人は単数キーワードでの検索を多用する」という推論が成り立つことになる。この推論が正しいかどうかは、携帯サイトの上で「パソコンはほとんど使わずに携帯電話のみでネットへアクセスしますか」という属性分けをした上で、改めて検索キーワードの数について問う必要があるのだろう。


調査レポートではその他にも、検索対象となるキーワードについてメジャー化している(1日に多数検索される)キーワードが用いられることはさほど多くなく、特定の1日で計測したところ「1日に1回のみ検索されているキーワード」が32.14%、「2~10回のみ検索されているキーワード」が51.69%検索されたなど、「検索されるキーワードは『広く浅く』という傾向が強い」ことを明らかにしている。

携帯電話利用者には
「本当の」初心者がいることを
忘れてはならない

検索キーワードは単数より複数で使った方が、求める結果にたどり着けるステップ・可能性は高い。しかしそれでも携帯電話だけを利用している人は、単数検索をする傾向が強い。機能に関する認知度が低いことは、逆にいえばそれだけ「携帯電話の利用者層が幅広い」ことを意味する。

また検索キーワードが「広く浅く」なのも、利用者の趣味趣向・興味関心が多種多様に及んでいることを表す。これもまた色々な意味で「携帯電話の利用者層が幅広い」ことに結びつく。

携帯電話を利用する層、その中でもパソコンも使いこなす層をのぞいた、携帯電話のみをネットへのアクセス端末として利用する「完全携帯層」は、本当の意味での「初心者から上級者まで」なのだろう。そしてパソコン併用層よりも色々な面(例えばITリテラシー)で、初心者が多いに違いない。携帯電話専用で情報を提供したりサービスを行なう場合には、この「本当の初心者が多い」という「完全携帯層」のことを考えた上で設定をする必要があると思われる。

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