新型iPodは自動ボリューム調整による聴力保護機能付き?
2007年12月25日 06:30
【DailyMail】は12月23日、アップル社が発売している携帯音楽プレイヤーiPodの新バージョンが、「利用者の聴力を保護する自動音量制御機能を有することになるかもしれない」と報じた。長時間必要以上のボリュームで直接イヤホンなどから音楽を聴く人が増えているため、難聴に陥る人が増えている現状に対処するためのものだという。
スポンサードリンク
元記事によると「最大ボリュームではチェーンソーくらいにやかましい」設定が可能な現在のiPodでは、利用者の聴力に少なからぬダメージを与えるかもしれない、と心配をしているアップル社側が、新特許を元に、新型のiPodやiPohoneなどに対して、自動ボリューム調整による聴力保護機能を設けることになるだろうと述べている。
この特許とは「利用者がどれくらい曲を聴いていたか、どの程度の音量で聴いていたかを判断し、ボリュームを適度に下げていくもの」。さらにiPodなどの電源が切られていた時間も算出し、再稼動させた際にどの程度の音量なら許容できるのかも計算する(電源を切っていた間は「耳を休めていた」と判断するようだ)。
「利用者の聴力への影響というものは、徐々に、そして蓄積されて増加していくものである。だから聴力への影響についてあまり気にしていない利用者は、(iPodでの大音量による)利用制限をしたり音量を下げたりしないものだ」特許の説明文ではこのように語られている。
平均的な聴力の持ち主にとって、70デシベル(街角における騒音程度)以下の音量ならば聴力に影響は与えないとされている。しかし現在iPodなどは100デシベル(電車が通るときのガードの下、工事用ドリルから3メートルしか離れていない場所での騒音)までの音量調整が可能。この音量で15分間聴き続けていると、聴力に少なからぬ影響を及ぼしうる(さらにMP3プレイヤーによっては120デシベル……旅客機のエンジンのそばにいる時の音……にまで調節可能なものもある)。
イギリスの難聴者団体The Royal National Institute for Deaf People(RNID)はiPodなどの音楽プレイヤーによって、イギリスの16歳から24歳の利用者のうち400万人もの人が、音量の上げすぎで難聴になるかもしれないと警告している。同団体ではその年齢層の半数以上が1日に1時間以上音楽プレイヤーを用いて曲を聴き、20%にいたっては1週間に21時間以上(∴1日3時間以上)イヤホン経由で曲を聴いていた(し、音量を高めに設定しているので難聴になるかもしれない)と主張している。そして音量に関する警告に彼らが「耳を貸さない」なら、彼らの少なからぬ人数がそう遠くないうちに難聴に陥るかもしれないと心配している。
また、アメリカの研究者は去年「1日5分間でもフルボリュームでiPodを聴いていると聴力に影響を与えうる」という報告も出している。また、別のハーバード大学の視聴覚研究者は「利用者は1日の利用時間のうち4時間半は70%の、1時間半は80%の音量にひかえるべきだ」と主張している。
今回の記事による新商品の機能が現実のものとなれば、これらの懸念を解決する手立てにはなるだろう。ただし、その「自動ボリューム調整による聴力保護機能」が利用者の意思でオン・オフが可能かどうかについては現在のところ不明。また、今特許についてアップル社ではコメントを差し控えているという。
音楽プレイヤーによる難聴問題はアメリカやイギリスに限ったことではない。日本でもiPodなどの携帯音楽プレイヤーを用いたイヤホンでの高音量で聴力に影響を与えうる件については、大きな問題として提起されていないが、ひそかに問題となりつつある。アップル社自身も【自社サイトの中で】十分以上に警告をしているし、携帯音楽プレイヤーそれぞれが説明書などで注意をうながしている。とはいえ、問題をおこしうる利用者はそもそも論としてそのような説明に目を通したり、注意に従うとは思いにくい。
聴力問題は目に見えないだけに、自分自身では気が付きにくいもの。しかし「気が付く」レベルではすでに手遅れの場合も多い。常日頃から音量に注意すると共に、今件の機能が本当に実装されることを期待したい。
(最終更新:2013/09/08)
スポンサードリンク
ツイート