ステルス戦闘機F-22、感謝祭にロシアの爆撃機と初遭遇
2007年12月29日 12:00
【Air Force Times】が伝えるところによると、アメリカ空軍の最新鋭ステルス戦闘機F-22 Raptor(ラプター)がアメリカの感謝祭である11月22日、ロシアの戦略爆撃機とアラスカ海岸上空でスクランブル発進(国土防空用の緊急発進)により初めて遭遇したことが明らかになった。
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11月22日においてスクランブル発進があったのはアラスカのElmendorf空軍基地。従来このような任務では、同空軍基地のF-15が対応することになる。しかしこの時期該当するF-15は、先日から引き続いて発生している事故に対する調査が継続中だったため、メンテナンスもかねて飛行を自粛しており、代わりに現在14機が整備されている第90航空隊のF-22のうち2機が出撃することになった(以前はカナダのF-16がF-15の代わりにこの任務を担当していたとのこと)。
アラスカ上空に接近した、スクランブルの対象となったロシアの戦略爆撃機ベアH型は【ロシア戦略爆撃機の長距離偵察に英ユーロファイター戦闘機が初スクランブル発進】でも説明しているように、正式名はTu-95(ツポレフ95)(Tu-95MSベアH型)。その歴史は古く開発自体は1950年代にさかのぼる機体で、すでに生産自身は終了している。その長大な航続距離(1万5000キロメートル)から今でも現役機(H型は巡航ミサイルAS-15を搭載可能)として活躍中であり、今回も偵察を兼ねた威圧行動をしたものと思われる。
アメリカ防空総司令部(NORAD)アラスカ方面広報担当Allen Herritage少佐は、「今回の任務がF-22におけるスクランブル発進(未確認の航空機を'迎撃'した)としては初の任務である」とコメントしている。また今回のF-22の出撃時には同時に空中空輸機や航空管制機も同時に出撃させている。
ロシアによるアメリカ防空域内への爆撃機による偵察飛行や、それに対するスクランブル発進は日常茶飯事であり、最近はその回数も増加している。ロシア側の経済状況の改善やパイロットの訓練も兼ねているため、この行為自身は「何か急激な変化が生じた」というわけではない。
しかし今回、F-15がたまたま出撃できないという事情があったにせよ、敵性未確認航空機と遭遇し、さらに空中空輸機や航空管制機も同伴させるなど、有事に近い状況での運用が行なわれたに違いない。アメリカ空軍側にも良い訓練の機会となったことだろう。
また一部ではこのロシア爆撃機の偵察行動がアメリカの祝日である「感謝祭」に行なわれた事に対し「ロシアのプーチン大統領からの感謝祭の贈り物」と表現するメディアもあった。一言では表現のしようがない、ありがた迷惑なプレゼントには違いない(笑)。
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(最終更新:2013/08/18)
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