高齢者 ウイルス対策 ちと不安 ソフト適切 利用は6割
2007年12月18日 08:00
C-NETとgooリサーチは12月17日、60・70歳代の高齢者におけるパソコン利用とセキュリティに関する調査の結果を発表した。それによると高齢者においてセキュリティソフトを適切に運用している人は約6割にとどまっていることが明らかになった。また、「フィッシング詐欺」を想定したシーンでは約2割が情報を入力してしまっており、インターネットを取り巻くさまざまな問題に対する注意喚起が十分に彼ら・彼女らには伝わっていないことが想像できる結果となっている(【発表ページ】)。
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今調査は12月6日・7日に60・70歳代の男女613人に対し、インターネット経由で行なわれたもの。年齢階層比は73.6対26.4。男女比は306対307。インターネット上からのアンケートなので、ある程度インターネットに関する知識を持った層による回答であることを認識した上でデータを見る必要がある。
今調査では、「コンピュータウイルス」「フィッシング詐欺」「ワンクリック詐欺」の3用語について内容を理解しているか確認したところ、多少の違いはあれども8割以上の人が何らかの形で「問題があるもの」「危険な香りのするもの」と認識していることが分かった。詳しく他人に説明できるほどの知識を得ているかどうかは別として、インターネットを取り扱う上でこれらの事象が「ひっかかってはいけないもの」と理解しているようだ。
●対策ソフトのインストールは8割、しかし……
一方、知識はあっても具体的な対策をしているのかどうかについては、多少不安な結果が出ている。例えばもっとも一般的に有効な「ウイルス対策ソフト」をインストールしているかについてたずねたところ、全体では8割以上が「インストールはしている」と回答している。
ウイルス対策ソフトのインストール状況
ただしインストールしたソフトを常に監視し最新ファイルを更新している人は6割に留まり、1~2割は「インストールしているけど「注意を払っているわけではない(常に監視して更新しているわけではない)」ことが明らかになっている。これらの人のことを考えると、最新の状況に対応させるための差分ファイルが自動的に(勝手に)組み込まれるタイプのソフトの方がよいのかもしれない。
それがよく分かるのが次の表。インストールしている人全体と、ウイルス対策ソフトの定義ファイル(差分ファイル)の更新状況について、どれだけ把握しているかを監視の度合ごとの階層で分類したもの。
ウイルス対策ソフトの定義ファイル更新状況
常に監視している人はほとんどが更新している、つまり最新の対策ファイルで守られているが、分からない度合が増えるほど更新していない(最新の問題サイトなどには対応できない可能性が増える)ことが分かる。
●「フィッシング」に釣られる人は約2割
さらに、それぞれが契約しているインターネットサービスプロバイダの名前で、「個人情報を含む情報の入力のお願い」をするメールが送られて来た状況を想定。情報の入力を行なうかという質問をしたところ、2割強が「入力する」と回答した。
「フィッシング詐欺」を想定した状況における情報の入力について
ご想像の通りこれは「フィッシング詐欺」を想定してのもの。2割強の「入力してしまった」という人にその理由を尋ねたところ、「契約しているインターネットサービスプロバイダ名でメールが送られて来たから」と説明した人が76.0%を占めている。用語について「こういうトリックがある」ことは知っていても、具体的な手口(今回はプロバイダ名を偽称する)については認識していない人が少なからずいることが分かる。
さらに「入力しなかった」、つまり「ひっかからなかった」人のうち「フィッシング詐欺」を想定せずに「入力しなかった」と回答した、つまり状況を把握した上での非入力ではない人も1割程度いることが明らかにされている。
通信さえできればどんな遠隔地でも操作ができることや、通販などを用いて気軽に買い物が可能なこと、使い方次第では電話や手紙以上に便利なことから、高齢者の間にもパソコンやインターネットは急速に普及しつつある。しかしその一方、それらのIT技術を用いた新しいメディアに対するマイナスの面において、一定数の高齢者は「十分な備え」ができていないことが分かる。
高齢者自身が今まで以上に気をつけねばならないのは当然だが、ソフトやハードを開発するサイドでもそのような層に対する需要が多い場合の対策を講じたり(例えば携帯電話のように専用の機種を発売するなど)、周囲の人が注意やアドバイスをするなどの配慮も必要になるだろう。
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