9月末時点のサブプライムローン関連商品保有額は1.4兆円、損失額は2760億円
2007年12月01日 12:00
金融庁は11月30日、2007年9月末における金融庁管轄内の預金取り扱い金融機関における、サブプライムローン関連商品の保有額を発表した。それによると保有残高は1兆4070億円にのぼり、関連損失は2760億円だったことが明らかになった(【発表リリース】)。
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リリースによると9月末時点でのサブプライムローン関連商品の保有額などは次の通り。
・総計
簿価……1兆4070億円
評価損益……-1350億円
確定損益……-1410億円
(以下部門別)
・大手銀行
簿価……1兆2460億円
評価損益……-1150億円
確定損益……-470億円
・地域銀行
簿価……1150億円
評価損益……-60億円
確定損益……-90億円
・協同組織金融機関
簿価……470億円
評価損益……-70億円
確定損益……-100億円
これらの数字はヒアリングベース(問い合わせに対する回答)の計数で、今後各金融機関が精査することでさらに変動する可能性がある。また、農協などは含まれていない。
さらに、「直接」サブプライムローンとかかわりの無い証券化商品はこれらの数字には含まれていない。リリースでも「グローバルな金融市場の混乱の影響が欧米を中心として広範に及んでおり、わが国の一部金融機関において、一定程度の評価損や実現損が発生しているものがある」と警告している。さらに「10月以降の追加損失を含んでいない」とも明記されていることから、10月以降はさらに数字に動きがあったものと容易に想像ができる(実際、アメリカにおける住宅市場が改善されたという話はどこからも伝えられていない)。
サブプライムローン関連商品は一般証券と比べると流動性が低く、一度需給のバランスが崩れると加速度的に価格が乱高下したり、売買そのものが難しくなる傾向がある。例えば総計において評価損益は9月末において「1350億円のマイナス」だが、株式のように「ここで仮にすべて損切りすれば、ほぼこの額の損失で済む」というわけではない。買い手がつくまで値を次々と切り下げねばならず、現金化しようと思ったら半減してしまった、という状況も容易に想像がつく。例えるのなら一日の出来高が数百株しかないような不人気銘柄の株式を大量保有し、それが大きな含み損を抱えている状態である。つまり「評価損益」は額面どおりに受け取るべきではないということ。
先日アメリカではサブプライムローン問題に関する対応策を検討中であることが報じられた(借り入れ2年後からほぼ2倍増になる金利を引き上げずにそのまとする特別措置を講じるというもの)。これが実行されれば、現在ローンを利用している人への救済措置になることだろう。「ローンが払えず手放された住宅が続々と増え、供給過多で誰も買い手がつかず、ますます住宅価格が下がり相場が下落する」というマイナススパイラルから抜け出す手立てとなるのか注目したい。
日本においてはまず上記にある1.4兆円の「手持ちサブプライムローン商品」を適切に処理し、次いでアメリカやヨーロッパで発生しうる事態の影響に備えることが課題となると思われる。
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