ぜん息の子ども、7年連続増加中
2007年12月15日 19:00
文部科学省は12月14日、毎年発表している学校保険統計調査の2007年度分速報データを公開した。それによると高等学校(高校)までの教育機関において、ぜん息をわずらっている子どもの割合が増加傾向にあることが明らかになった。例えば中学校では調査開始の1967年以来始めて3%に達するなど、全体から見ればわずかではあるが確実に増加していることが分かる(発表ページ)。
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今調査は今年4月から6月までの間に幼稚園と小中高校計7755校を対象にしたもので、69万5600人の発育状態と332万2683人の健康状態について調査した。
ぜん息をわずらっている子どもは、
幼稚園児……2.23%(-0.13ポイント)
小学生……3.91%(+0.17ポイント)
中学生……3.08%(+0.13ポイント)
高校生……1.80%(+0.09ポイント)
※()内は前年比
となり、幼稚園児でわずかに減少傾向が見られたが、それ以外はすべて増加している。これを年齢別及び直近過去10年分のグラフで示すと次のようになる。
1997年(平成9年)以降の各学校別のぜん息り患率
5歳から17歳の各年齢別ぜん息り患率
幼稚園児が前年比でわずかに減ったのは偶然に近く、すべての学校層においてここ10年の間では増加傾向にあることが分かる。また、5歳児がなぜ低いのかは不明だが、り患率は6歳がピークで年を経るにつれて少しずつ減少しているのが見て取れる。こちらは多分に成長するにつれて体力がつき、ぜん息への抵抗力が高まることが原因と推測できる。
ぜん息に少なからぬ関係があると思われる「鼻・副鼻くう疾患」(蓄のう症、アレルギー性鼻炎など)の割合も次のように、(ぜん息と比べて上昇率はゆるやかではあるものの)すべての学校層において前年度から増加している。
5歳から17歳の各年齢別ぜん息り患率
大気汚染は高度成長期と比べれば抑えられているはずにも関わらず、ぜん息や鼻・副鼻くう疾患の割合が増加していることについて、文部科学省では環境や体質などの複雑な条件が絡んでおり、原因は特定できないと説明している。
可能性としては、清潔志向が逆に乳幼児の免疫機能を低めてしまい、アレルギー体質の子どもが増えたことや、冷暖房設備が浸透することで逆にだに・かびなどの問題を引き起こしていること、そして体質(特に食生活)の変化が原因として考えられる。ただしそれらのうちのいずれか、あるいは複数の要因によるものなのか、それともまったく別の要素があるのかを判断するには、科学的に検証するかそれぞれ個別の状況を用意してデータを抽出する必要がある。
とはいえ、いずれもがぜん息を引き起こす引き金としては容易に想定できるもの。他の健康問題にも大きく関わってくるので、何らかの対策を講じねばならないだろう。
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