トヨタ(7203)、家事や介護分野でのロボット展開を2010年代早期にも

2007年12月07日 06:30

「トヨタ・パートナーロボット」イメージ[トヨタ自動車(7203)]は12月6日、ロボット開発プロジェクト「トヨタ・パートナーロボット」の開発概要と共に途中成果として2台のロボットを発表した。家事や介護の手助けを目標とし、2010年代の早い時期の実用化を目指しているという(【発表リリース】)。

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トヨタではすでに2005年開催の「愛・地球博」で多数のロボットを展示、さらに今年には案内ロボット(ロビーナ)を開発して運用を開始している(【発表リリース】)。6日の記者会見ではこの「ロビーナ」以外に新たな「パートナーロボット」プロジェクトの開発成果の一環として新ロボット「モビリティロボット」と「バイオリンロボット」を発表した。

モビリティロボット(左)とバイオリンロボット(右)
モビリティロボット(左)とバイオリンロボット(右)

新ロボット「モビリティロボット」と「バイオリンロボット」の概要は次の通り。

■モビリティロボット
・目的……「近距離のパーソナル移動支援」
・車高……1.0~1.1メートル
・重量……150キログラム
・特徴……左右独立に車輪を上下する機構により、段差移動が可能で、人の近距離移動を支援(1時間充電で20キロメートルの航続可能、時速6キロメートル・10度の坂を登れる)
・予定……2008年後半から実証実験

■バイオリンロボット
・目的……「家庭内での家事支援」「介護・医療支援」
・車高……1.522メートル
・重量……56キログラム
・特徴……人が親しみやすい二足歩行の形態とし、両手・両腕を協調させてバイオリンの演奏が可能(人の繊細な運弓の動作、力を再現可能など)
・予定……さらなる汎用化・高機能化を目指す


新発表のロボット「モビリティロボット」「バイオリンロボット」のスペックや目的などからも分かるように、トヨタのロボット開発プロジェクトは、「生活支援」というコンセプトのもと「家庭内での家事支援」「介護・医療支援」「製造・モノづくり支援」「近距離のパーソナル移動支援」の4観点から実用化を目指している。

これらの事業開発を確実にするため、開発人員を現在の約100人から3年以内に200人程度にまで増強すると共に、現在分散している開発人員を、2009年3月末までに愛知県豊田市に新設する開発拠点に集約し、効率化を図るとのこと。実証実験もトヨタグループ内の各施設で行い、必要なデータを集積する。

記者会見に臨んだトヨタの渡辺捷昭社長は、これらロボット開発プロジェクトについて、特に高齢化社会で活用できることから、出来るだけ早い実用化を目指して活躍させたいという抱負を語り、ロボットを将来中核事業の一つとするべく注力していくことを示したという。

工場内で人の手助けをする(人型ではなく例えば小型のクレーン車のような)「工業用ロボット」ならすでに多くが実用化されている。しかし介護や医療をはじめとした世間一般の生活を手助けする分野では、利用コストや重量、繊細な動きを求められることから、実用までにはまだ程遠い開発経過であることは否めない。しかし記者会見場の様子を報じたテレビで映し出された「モビリティロボット」「バイオリンロボット」両ロボットの姿を見るにつけ、将来たどり着くであろう「完成品としての生活支援ロボット」に期待を寄せずにはいられなくなるのは当方だけではあるまい。

移動や運搬の手段として人間の生活を助けてきた自動車に続き、新たな「人間の生活を助ける道具」としてのロボットを一般社会に提供し、そのリーディングカンパニーとしてトヨタは歩むことになるのだろうか。

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