メリルリンチが7000億円の資本増強・さらに金融子会社の大部分をGEに売却

2007年12月25日 06:30

株式イメージアメリカの大手証券会社メリルリンチは12月24日、シンガポールの政府系投資ファンドTemasek Holdings とアメリカの投資顧問会社Davis Selected Advisorsから合わせて62億ドル(約7000億円)の出資を受けると正式に発表した(【発表リリース】)。またこれとは別に傘下の法人向け金融子会社であるメリルリンチ・キャピタルの中小企業向け事業の大半を、アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)の金融部門であるGE Capital Commercial Financeに売却するとも発表した(【発表リリース】)。具体的な売却額は明らかにされていないが、リリースでは「おおよそ13億ドル」と表記されている。

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先に【米メリル、サブプライムで評価損9100億円に拡大し赤字転落へ】【メリルリンチの最高責任者オニール氏、サブプライム関係損失の責任などで事実上の解任】でお伝えしたようにメリルリンチは9000億円以上の損失をサブプライムローン関連で計上。さらに今後も追加で損失が生じる可能性があり、資本増強が求められていた。

具体的な資本増強策としては、まずシンガポールの政府系投資ファンドTemasek Holdingsが44億ドル、アメリカの投資顧問会社Davis Selected Advisorsが12億ドルの普通株式を第三者割当増資の形で購入。Temasek Holdingsはさらに来年3月28日までに追加で6億ドル分の普通株式を購入できる権利も得る。この権利をすべて行使した場合、第三者割り当て増資による資本増強はあわせて62億ドル(7000億円)に達する。追加購入分以外の増資は来年1月中旬までに行なわれる見込み。

リリースによれば今回の増資はあくまでもメリルリンチの財政力強化とそれぞれの投資元における「長期的な純投資」を目的としたもので、保有比率も10%未満に留め、メリルリンチへの経営権の介入が目的ではないとコメントしている。

また、メリルリンチ・キャピタルの事業の大半を買い取ることになる、GEの金融部門GE Capital Commercial Financeでは今回の買収について「今回の買収によって自らの業務範囲を拡張でき、顧客へのサービスの価値を高めることができる」とコメントしている。

今回の第三者割当増資と事業部門売却で、メリルリンチはあわせて最大75億ドル(約8500億円)の資金を調達することになる。これらの資本増強とリストラの敢行で、同社では財務体質を強化し、これまでの損失と今後発生しうるさらなる損失に備えることになる。


(最終更新:2013/08/18)

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