国内自動車販売台数、今年は前年比6.2%減・来年も1.2%減少の見込み
2007年12月23日 19:30
【日本自動車工業会】は12月20日、「2008暦年(平成20暦年)自動車国内需要見通し」を発表した。それによると2007年の四輪車(自動車)の国内総需要数は538万4000台で前年比93.8%・6.2%減が見込まれると推測している。また、来年2008年においては今年より下落度はやや収まるものの前年比で98.8%・1.2%減となり、4年連続で減少する見通しであることを明らかにした(【発表リリース】)。
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日本自動車工業会では今年の需要の総括と来年の予想について、次のようにまとめている。
■2007年度
・年後半は新型車やモデルチェンジで盛り上がる。
・自動車NOx・PM法の規制の影響が大きい。トラックが前年比87.5%、バスが前年比89.2%であることもその表れ。
■2008年度
・輸出は新興国の需要が活発なため期待が出来る。
・企業業績は堅調。設備投資も底堅い。
・所得や雇用回復はままならない、個人消費も緩やか、原油価格高騰による物価上昇、自動車NOx・PM法の規制の影響で今年同様前年比マイナスの予想をせざるを得ない。
1989年以降の年単位での国内自動車総需要と前年比割合
各車種の詳細分析を見ても、大型車は自動車NOx・PM法の規制により、普通自動車は景気が軟調なことなどから、総じて売行きは下降傾向にあるとしている。
二輪自動車も似たようなもので、中高年齢層向けや駐車場不足の解消が見込める小型二輪車や軽二輪車は前年比プラスで展開できそうだが、その他の機種は主要顧客の若年層人口の減少、排ガス規制問題などで、自動車同様にマイナスに移行しそうと推測している。
また、グラフを見ればお分かりのように日本国内の自動車需要数は1990年以降総じて減少傾向にある。人口そのものの減少や自動車の普及率の向上・飽和(携帯電話と同じ現象)などが原因だろう。それでも1999年以降は横ばい、あるいはやや持ち直しの傾向が見られたが、2005年以降は再び現象の傾向が見られるようになった。2007年の自動車需要は少なくともデータが公開されている1989年以降もっとも低い水準で、2008年はこれをさらに下回ると予測されている。
各自動車メーカーは国内需要に関しては、予想をはるかに上回る市場縮小に対応するため、顧客のニーズにマッチした機種の開発を今まで以上に推し進めると共に、市場そのものの活性化を模索する必要があるものと思われる。
もっとも消費者側からすれば日本自動車工業会が分析しているように、「所得水準は高まらない」「物価は上昇を続ける」「ガソリン代も目玉が飛び出るほどの高値更新」「雇用は不安定」「地価も高騰し、駐車場代も値上がり」というのが実情。これらの理由から、高所得者層向けの自動車以外は現状以上に市場を開拓するのはきわめて困難な状況にある。むしろ「自動車を新規購入するのはおろか、維持する余裕すらない」というのが大方の意見だろう。
自動車産業のみの問題ではないが、だからと言って目をふさいでばかりでは責任回避にすぎない。自動車が売れないと嘆くばかりではなく、売れない原因を一つでも解消するよう、「消費者・購入者の立場から物事を考え」できることから手を打つべきだろう。そもそもお客の立場で商品展開を考えるのは、商売の基本なのだから。
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