56年休まずに食パンを焼いてきた現役トースター

2007年12月30日 12:00

Morphy Richards toasterイメージ【DailyMail】に目を引く記事が掲載されていた。タイトルは「56年物のトースター(Crumbs! The toaster that's still going 56 years on)」というもの。ワインや「ノッポの古時計」ではないのだから、半世紀以上も過ぎたトースターなど……と半信半疑で見てみると、冗談抜きで56年物(1951年に購入)したトースターがいまだにピカピカの新品のような姿で現役として働いているのだというから驚き。

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Suffolkに住むJoan Lopes嬢は子どもの時に両親へのプレゼントとして、銀色に輝いた モーフィーリチャード社のトースター(Morphy Richards toaster)を選んだ。2枚の食パンが焼ける、ごく普通のありふれたトースターだが、それは彼女の両親、そして彼女自身、さらにはその子どもと三代に渡って用いられ、いまだに食パンにきれいな焼き目をつけさせる機能を有している。

「自分が焼いた食パンの枚数など覚えていない」とでも語りそうな、56年物の現役トースターと持ち主のJoan Lopes嬢
「自分が焼いた食パンの枚数など覚えていない」とでも語りそうな、56年物の現役トースターと持ち主のJoan Lopes嬢

このトースターは1949年製で、イギリス製としては初めてのニクロム線で焼けるタイプの自動食パン焼き機(要は焼きあがった時に「ぽんっ」と飛び出すという意味での「自動」)として登場。当時は4ポンドほどで発売されていたという。

Joan Lopes嬢は結婚に伴い海外に移住した時期もあったが、その間も両親はていねいにトースターを使い続けた。そしてJoan Lopes嬢がイギリスに戻ってきた1977年においても食パンを焼き続けていたという。彼女は言う。「どうしてこんなに長持ちしたのか分からないわ。でもこのトースターはきっと、私の一族の一部になっているのね」。トースターを一族に加えるのはいかがなものかと思うが(笑)、これだけの時を経ているのだから感慨深いものもあるのだろう。

読者からのコメントも色々と考えさせられるものが寄せられている。このトースターの製造ラインで働いていた人による「予備パーツがあるから(故障しても)修理できるかもしれないよ。今の市場に出回っている、どんなトースターよりも丈夫で長持ちするトースターと自負できる」というものから、「一部は壊れているけどちゃんと焼ける機能は使える、別メーカーのトースターを持っています。それは1945年に自分の両親が結婚祝いの品としてもらったものです。写真を送りましょうか?」というさらに驚くべき話、そして「自分が使っているトースターは長くて2年しか持たないよ」「最近は長持ちしないのばかり作られるからダメだね」「昔の商品は素材も技術も良質のものを用いているから長持ちするんだよ」「定期的に新商品を買わせるために保障期間以降一定時間を過ぎると壊れるように、故意に設計されているんだ」という、今の電化商品へ疑問符を投げかけるようなコメントまでが記載されている。

よほどのことが起きないか、「食パンを焼いて食べる」という食文化に変化がない限り、彼女のトースターは今後も食パンを焼き続けることだろう。あと44年頑張れば、「百年休まずに」食パンを焼き続けたトースターとして表彰されることも夢ではない。そうなればこのトースターは彼女の子どもに引き継がれ、彼女の言葉通り「一族の一部」になるに違いない。そして「物を大切にしよう」というしつけを象徴するかのようなシンボルになるだろう。

最後になるが、コメント群の意見を裏付けるかのように、経験則から彼女は次のように述べている。

「最近の電気機器はダメね。すぐに壊れちゃう。このトースターで唯一交換したのは、ケーブルの部分だけよ」


と。

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