「2010年半ばには150万円にまで」富士重工業が電気自動車量産化計画発表
2007年12月26日 06:30
【富士重工業(7270)】は12月25日、同社の代表的自動車スバルシリーズの初代車種であるスバル360発表から50周年を迎えるにあたり、今後のスバルに関する環境・安全技術に関する取り組みを発表した。それによると2010年半ばには軽自動車や小型車を基盤にし、電気自動車の1台当たりの販売価格を150万円程度にまで引き下げ、年間数万台を販売する計画を持っていることが明らかになった(【発表リリース、PDF】)。
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今リリースでは今年の販売状況や来年の見通し、[トヨタ自動車(7203)]との提携、環境対応技術などを報告。そして電気自動車についても具体的な数値目標を含めた計画が語られている。
【東京電力(9201)と富士重工業(7270)、次世代型電気自動車の試作車公開と導入計画発表】にもあるように富士重工業では【東京電力(9501)】と共同で電気自動車の開発・導入を推し進めている。電気自動車は現在主力のガソリン自動車と比べると二酸化炭素排出量が極めて少ない、自然環境に配慮した次世代自動車の一種として複数企業の開発ターゲットとなっており、【三菱自動車(7211)、電気自動車「i MiEV」の電力会社との共同研究を開始】の通り三菱自動車や、【日産自動車(7201)】なども開発を進めている。
今回富士重工業から発表されたのは、電気自動車としてのスバル。つまりスバルの一機種として、電気自動車を出そうというもの。リリースによれば現在すでに40台もの電気自動車「R1e」が実証実験中にあり、この実験データを元に一般の人が受け入れられる商品としての電気自動車の形を模索している。
具体的な導入計画としては次の通り。
・2009年……年間100台程度で「一般販売」スタート。ただし当初は、企業や自治体など環境問題に積極的に取り組む方面に限られる(台数が少ない・価格が高めのため)。
・2009年+3~4年……1台200万円レベルの価格帯を実現。環境問題などに関心の高い個人が買えるように。
・2010年代半ば……「年間数万台の販売台数を確保できれば」という前提だが、二次電池価格が大量生産で大幅に安くなる。販売価格は1台150万円を切る。
このように、普及が果たされる社会の環境・雰囲気作りが前提となるが、現在のガソリン自動車に近い価格で、電気自動車が一般販売される状況を目標としている。
過去にも他社が電気自動車の一般販売計画を明らかにした例はあるが(例えば三菱自動車では「2010年までの一般販売を目指す」としていた)、量産化やガソリン車並のコストダウンによる普及、年間数万台という具体的な数字を挙げた計画を提示したのは今回の富士重工業が初めてのものとなる。
現在電気自動車分野では、富士重工業が主張しているようにガソリン自動車ならガソリンエンジン部分にあたる電池の価格を引き下げること、充電の手段、1回の充電で走行できる距離を伸ばすこと(現在の「R1e」では1回の充電で80キロメートルの走行が可能)などが課題とされている。逆にいえば、これらの問題とコストさえ解決できれば、(他にも問題は無いわけではないが)電気自動車の普及は十分に可能となる、と富士重工側では見込んでいる。
特に自動車の環境対策問題に厳しいヨーロッパでも電気自動車に対する関心は高い。電気自動車の安価量産化が実現できれば、日本国内はもちろん海外、特にヨーロッパ方面での引き合いは増えるだろう。リリースに「スバルは、EV(電気自動車)が生活の中に溶け込むような商品や社会環境の実現を目指していく」とあるが、将来はスバルの電気自動車、そしてそれに触発されて製品開発が加速された他社の電気自動車が、日本国内はもちろん海外でも走り回る日が来るかもしれない。
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(最終更新:2013/08/18)
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