フェリカを使ったマーケティング合弁会社、ソニーやぐるなび、大日本印刷などが設立
2007年11月30日 06:30
【ソニー(6758)】【ぐるなび(2440)】【大日本印刷(7912)】【三井物産(8031)】【丹青社(9743)】の5社は11月29日、共同で非接触ICカード技術Felica(フェリカ)に関する事業を展開する合弁会社「フェリカポケットマーケティング株式会社」を設立することで合意したと発表した。新会社設立は来年1月を予定している。フェリカを容易に導入できるパッケージ商品「フェリカポケット」をツールに、さまざまな事業展開のサポートを行なう会社となる(【発表リリース】)。
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同会社にはソニーが過半数の60%、ぐるなび・大日本印刷が12.5%、三井物産が10%、丹青社が5%出資し、資本金は4億円となる。社長にはソニーの納村哲二氏が就任する。
フェリカとはソニーが開発した非接触型ICカードとその技術。Suica(スイカ)など多種多彩なICカードに搭載されてきた。今回創設される新会社では、このフェリカを用いた集客・会員システム(具体的にはポイント制度、クーポン制度、会員証やIDの発行と管理、決済、スタンプラリーなど)を特別なノウハウや大規模投資を必要とせずに導入できる汎用パッケージ「フェリカポケット」を積極的に提供。そして「フェリカポケット」をツールとし、さまざまな形態の事業者に対し、既存の事業を活性化するアイディアの展開やマーケティング部門における支援を行なうことになる。簡単にまとめると「フェリカを容易に導入できるパッケージを販売し、それを使って今の事業をもっと盛り上がるような企画を提供する」会社がフェリカポケットマーケティング。
さらに将来的には把握した顧客の「店舗上などでのリアルな行動履歴」と「ネット上の行動履歴」をデータベース化した上で、双方を比較して分析。その結果に基づいた新規顧客の誘導や既存顧客の利用頻度を高めるための広告・販促活動をも支援するという。リリースではこのマーケティングを「ネットでの“クリック”とリアルでの“かざす(クリック)”の両方を把握し、“ライフスタイル動線”を活かした新しいマーケティングモデルの構築」と説明している。
リアルとネットの両点から
お客の「囲い込み」を提案。
それが新会社の狙い
要は「フェリカ」という非接触型ICカードを容易に導入できるパッケージ商品を販売し、それを用いて店舗上のお客やそのお客のネット上の行動データを収集し分析。どのようなサービス提供やイベントをすればそのお客に喜んでもらえるか、どんなイベントを展開すれば効果的なのかまでも含めた、総合的な企画を考えて提案する「フェリカポケットを軸にしたリアル・ネット双方から攻める企画会社」がフェリカポケットマーケティングということになる。
ネット上の来場者とネット以外、つまりリアルのお客を何らかの形で連結して集約するという考え方の企画会社については先日【日テレとセブン、電通が新会社「日テレ7」で通販会社を設立・マルチメディア展開へ】で報じたように「テレビと実店舗、インターネットを結びつける」という観点から関連会社が手を結び、合弁会社を設立している。こちらは他社への企画提供ではなく所属会社内での事業展開だが、「ネットとリアルの相互乗り入れ」というコンセプトでは通じるものがある。
今回のフェリカポケットマーケティングでは、「ネットとリアルの握手」に際して(携帯端末・電話と)フェリカ技術を用いていることや、システムをパッケージ化して他社が容易に導入しやすくなるという点で注目に値する。関連会社だけで技術やノウハウを独占して利益を極限化するのではなく、多くの企業に導入をうながし、その「仕組み」をデファクト・スタンダードにしてしまおうという狙いのようだ。
ノウハウの蓄積や導入成果を生み出すには、それなりの経験が必要。さらにはさまざまなハードルが待ち構えているだろう。それらを乗り越えることができるのか、フェリカポケットマーケティングを引っ張る5社の意気込みに注目したい。
(最終更新:2013/08/18)
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