アメリカの年末商戦、まずは「来客数増」「客単価減」「売上微増」でスタート

2007年11月27日 08:00

バーゲンセールイメージアメリカ国内の小売業売上において年間の1/4をこの時期に売り上げるともいわれている、感謝祭(今年は11月22日)からはじまる年末商戦。サブプライムローン問題などから消費の縮小が懸念されるところではあるが、スタートダッシュにおいては前年同期比で「来客数増加」「客単価減」で「売り上げ微増」という結果になったようだ。顧客一人一人の財布のヒモは堅くなったが、売り場側では安売りで客寄せをしたのが功を奏したようだ。

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アメリカの調査会社【SHopperTrak】が11月25日に発表したプレスリリースによると、ブラックフライデー(感謝祭翌日の金曜日。小売店の売上が黒字に転じることからこのように呼ばれる)こと23日の売上は、前年同日比で8.3%プラスにのぼった(【発表リリース】)。翌日の24日土曜日とあわせ、164億ドル(1兆8000億円)にのぼったという。これは前年同期比で7.2%のプラス。来客数も6.5%増加した。

バーゲンセールイメージ一方、全米小売業界(NRF:National Retail Federation)が同日25日に発表した【リリース】によれば、土日の来客数は延べ1億4700万人に達し、前年同期比で4.8%のプラスになったという。ただし客単価は347.44ドル(3万8200円)と、昨年から比べれば3.5%のマイナスに留まっている(一昨年から比べれば14.8%のプラスである、ともリリースでは主張している)。概算すると、今年の該当する期の売上高は510.7億ドルで、前年同期の504.4億ドルからわずかに増えていることになる(来客すべてが平均単価で消費した計算)。

去年はハイビジョンテレビが人気だったが、今年はデジタルフォトフレーム、カシミアのセーター、ラップトップパソコンなど、比較的価格の安い商品が人気を集めている。これらのデータを受けてNRFのTracy Mullin会長は「ブラックフライデーの売上結果はおおむね好調。ただし年末商戦そのものがうまくいったかどうかは、最後の2週間にならないと分からない(Though Black Friday weekend was a complete success for many retailers, the results of the holiday season won't be determined until the last two weeks of December.)」と述べている。

ちなみにNRFのデータでは

「男性は303.95ドルに対し女性は393.63ドルも消費している」
「早朝セールを行なっている店が多いようで、午前4時以前に14.3%の人が買物をした。これは前年の12.4%より増えている」
「小売業側は多少単価を落としても顧客数を増やすことで総売上はカバーできると踏んで戦略を練り、それに成功した」
「ディスカウントストアを訪れた人の割合は55.1%にのぼり、これは去年の49.6%よりも増えた値となっている」
「伝統的な普通のデパート38.7%、専門小売店43.2%以外に、オンラインでは31.6%の人が買物をしている」
「主な購入商品は本や衣服などが46.8%、CDやDVD、ビデオやテレビゲームが41.7%、家電が35.7%、おもちゃ28.2%、ギフトカード21.0%など」
「NRFでは年末商戦の総売上高が前年同期比4.0%プラスの4745億ドル(52兆2000億円)に達すると予想している」


などのデータも提示している。年末商戦に男性よりも女性の方が消費するのは世界共通のようであるし、オンラインショッピングの伸び具合はさすがアメリカというところ(いわば「超早朝セール」に1割以上の人が足を運ぶのには驚いたが)。また、「来客数は増えているが客単価が減少している」という傾向は、日本の小売業全般にも見て取れるものである。

アメリカの景気減退やリセッション(景気の後退)が懸念される中、それを裏付ける結果となるのか、それともそんな懸念を弾き返すような好成績を出せるのか。セールスいかんでは関連する小売業の業績・株価に直結するのは間違いないし、景気動向を推し量れるため市場全体の投資動向にも大きく影響しうる。アメリカの年末商戦の今後に注目したいところだ。

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