大証がジャスダックを買収へ・産経報じる

2007年11月24日 16:00

株式イメージ経営建て直しが求められているジャスダック証券取引所に対し、大阪証券取引所が買収する方針を固めたという報道が[このページ(Sankei Webなど)は掲載が終了しています]で11月24日に行われた。ジャスダック筆頭株主の日本証券業協会との協議で合意がさなれれば、株式の大半を譲り受けた上で大証に属する新興市場「ヘラクレス」と統合する考えだという。ただしジャスダック側では買収に難色を示しているとのこと。今報道に対し大証側では【リリース(PDF)】にもあるように「'機関決定した'事実は無い」とコメントしている。

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東京証券取引所がそう遠くない時期に上場を控えていることや、金融市場のグルーバル化の波が押し寄せていることもあり、国内の各証券取引所でも自らの立場を再検討する時期に来ている。業務的には低迷が続き赤字転落が避けられないジャスダック証券取引所については先に【取引低迷でジャスダックに再編案提示】でも報じたように(今件は11月21日に日証協の安東俊夫会長が記者会見で、ジャスダックへの提示案の回答がタイムリミットが12月20日であるということと共に語ったことが確認された)、筆頭株主の日本証券業協会から最後通達に近い形で「成果のある経営改善か、さもなくば他の証券取引所との統合を」との選択を迫られている。

今回産経新聞が報じた「大証によるジャスダックの買収方針(打診)」はまさにこの選択肢の中の「2.大阪証券取引所との統合(「ヘラクレス」絡み)」と一致するもの。元記事によれば大証による買収案の骨子は次の通り。

・大証が日証協の持つジャスダック株式(70%超)の大部分を取得
・ヘラクレスとジャスダックを統合
・所在地はジャスダックのある東京とする。名称もそのまま残す
・システムはジャスダックのものではなく大証が現在使用しているものを使う
・資金面、統合準備面で問題は無い
・すでに大証社長は日証協会長に意向を伝えている


大証の'現行'使用システムといえば【大証(8697)、新売買システム稼動、処理能力7倍に】にもあるように※、東証のものより格段にスピーディーで情報提供能力にも優れており、個人投資家からの評価も高い。一方、ジャスダックでは情報や注文の遅延がたびたび指摘されているのが現状。仮に大証の買収骨子案通りの統合がなされれば、諸手をあげて喜ぶ株主・個人投資家も多いことだろう。

大証やジャスダックのライバルとなる、「マザーズ」を抱える東証側も、金融派生商品(デリバティブ)の強化やシステム構築に取り組んでいる最中で、ヘラクレスとジャスダックの統合に異論はないもようだ。

ジャスダック側では大証の買収には反対する意見が強いとのことだが、12月20日に設定された「4つの選択肢」のうちでどことも手を結ばない「1.現状維持で経営改善に取り組む」を選択したとして、大株主の日証協を納得させるだけの経営計画を打ち出せるのかは疑問(それが可能ならとうの昔に実施しているはず)。大証側が積極的に働きかけているのが事実だとすれば、ジャスダックに残された他の選択肢はすでに無いものと思われる。

なお本日の今報道に対し大証側では「そのような内容を機関決定した事実はありません」と微妙なニュアンスで否定している。しかし「最終的に機関決定し公開してはいないが、内部的に検討し決定の方向で動き、打診もしている」状況でもこのような文面のリリースを出す事は可能。最長でも12月20日までには何らかの形で、当事者らによる正式発表が行なわれることだろう。


(最終更新:2013/08/18)


※まったくの蛇足だが、リンク先の記事に掲載している板情報のサンプルを見ると、2006年2月には任天堂の株価はまだ1万7000円台だったことが改めて思い知らされる。色々な意味で感慨深い。

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