二世帯住宅、若年層の過半数が肯定派・最大理由は「経済的メリット」

2007年11月23日 12:00

二世帯住宅イメージ不動産コンサルティング会社の【ハイアス・アンド・カンパニー】は11月22日、二世帯住宅に関するアンケートを行いその調査結果の一部を公開した。それによると二世帯住宅に住む目的は「経済的メリット」「親世代の世話や介護」「家事育児の支援」などが上位を占めていることが明らかなった(【発表リリースページ】)。

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今調査は10月19日から26日の間、二世帯住宅(一般的には親子それぞれの家族が同じ住宅に住まうタイプの住宅)関連サイト上で実施したもので、有効回答数は825人。男女比は43.4対56.4。年齢構成比は20代がもっとも多く315人、次いで30代の259人など。元々関連サイトにおけるアンケートなので、調査対象のほぼすべてがはじめから二世帯住宅に住んでいるか深い関心を持っているということを前提にデータを見る必要がある。

同居の目的は「経済的メリット」が最多

二世帯住宅の構築、すなわち同居の目的についてたずねたところ、「経済的メリット」を挙げる人がもっとも多く約半数の人が同意した。

同居の目的について
同居の目的について

二世帯が一つ屋根の下で暮らすことにより、住宅コストや家計の負担が軽くなるなどのメリットを感じ、あるいは期待している人が多いことが分かる。また、「介護」「育児」など互いに助けてほしい・助けたいという意図のもと、二世帯住宅を選択する人も多い。

共有したいのは「玄関」「お風呂」「トイレ」など・過干渉やプライバシーが心配

二世帯住宅と一言で表現しても実際には完全な同居型や部分共有型、別棟完全分離型などさまざまなスタイルがある。そのうち、部分共有型(二世代が一部エリアを一緒に使うタイプ)に住む、あるいは住みたい人に「どの部分を共有しても良いか」についてたずねたところ、玄関やお風呂など、利用頻度が高いが常駐はしない場所が多くを占めた。

どの部分を共有しても良いか
どの部分を共有しても良いか

上位五項目の中ではトイレがもっとも答えが少ないのは、やはり「いざ」という時に自分以外の人が入って埋まっている状況は出来れば避けたい、という思いからなのだろう。

一方、同居するとなると嬉しい点や助かる点もある一方、不安を覚える点もあるはず。その点についてたずねたところ、もっとも多い回答は「お互いの過干渉」となった。

同居に際して不安・問題な点
同居に際して不安・問題な点
一つ屋根の下で住まう家族だが
「個」も大いに尊重してほしい

レポートでは「お互いの過干渉」の具体的内容について「親世代からの子育てや家事に対する過度な干渉」を例に挙げている。子ども(孫)に対する想いは世代間の考えの違い、ジェネレーションギャップとなって現れるのだろうか。子育てについて意見の相違(例えば親は勉強一本の教育方針、祖父母はのびのびと育てたい)あるいは「嫁姑問題」はよく耳にする話ではある。

また、二番目の「プライバシー問題」や三番目の「生活時間帯のずれ」など、「同じ家族の一員であるにも関わらず個々の違いを問題視し、干渉を嫌う」、つまり生活共同体への考えが(昔とは違う)現代スタイルの「個人>共同体」「現代社会の家族のあり方」という考え方が回答にも反映されているのが分かる。


グラフ上には無いが「二世帯住宅に対する意識」についての調査結果では、賛成する意見は多く、若年層(20~30歳代)では半数以上の51.1%が賛同している答えが出ている。プライバシー問題などさまざまな懸念要素を考慮した上でも、お互いのメリットを考え、さらにデメリットを解決していき「親子で共に歩もう」という姿勢が自由表記コメントからも多くうかがえた。

前世紀後半から日本では「核家族化」が進行し、色々な社会現象の原因として問題視されている。経済・育児・介護など理由は多種多様だが、二世代住宅の考え方が進むことで、(昔のような一棟完全同居スタイルはもちろんそれ以外のタイプも含め)現代風の「脱核家族化」が図れるのかもしれない。結果として「核家族化」で発生し得たマイナスの事象も減少するのなら、願ったりかなったりなのだが。

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