移動中の携帯端末利用と「他人の目」
2007年11月13日 08:00
【マイボイスコム】が先日発表した調査結果によると、移動中の自分の行動に関して、周囲の人の目が気にならない人は4割強で、気にする人の3割強をやや上回ることが明らかになった。また、移動中の「時間つぶし」の行動としては、寝たり外の景色や中吊り広告を見るほかに、携帯電話や携帯音楽プレイヤーで音楽を鑑賞するなど、携帯端末が深く浸透している結果が導き出されている。携帯電話の車内利用のマナーには色々と話題に富むところではあるが、「他人の目をあまり気にしない」人が多い状況が一因なのかもしれない(【発表リリース】)。
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今調査は10月1日から5日の間、インターネット経由で行なわれたもので回答者数は1万7058人。男女比は46対54で、年齢階層は30代がもっとも多く40%、40代が26%など。
●「他人の目は気にならない」41.6%
電車やバスなど交通機関の移動の際、どうしても気になるのが他人の行動。社会生活を営む以上、他人との接触は避けられないのが常で、そのような中では他人が何をしているのかつい目をやってしまう。一方、「自分も他人に見られているのではないか」と我が身を振り返る機会もしばしばあるはず。
そこで移動中の自分の行動に対して周囲の人の目が気になるかどうかたずねてみたところ、4割強の人が「気にならない」と答えた。
移動中の自分の行動に対して周囲の人の目が気になる?
地域性にもよるが、海外の人と比べると日本人は「他人の目を気にする、恥ずかしがりや」というイメージが強い。しかしこのデータを見る限り、他人の目を気にする恥ずかしがり屋は少数派になりつつあるようだ。
●出勤・登校時の移動中「周囲を眺める」「携帯を使う」「寝る」
自動車などの移動はともかく、電車やバスなどの公的交通機関を用いる場合、席に座るにせよ立っているにせよ、目的地に到着するまでの時間が手持ち無沙汰になる。通勤・通学時間が長い人はこれをうまく活用して自己学習に充てたり、睡眠時間を補てんする人も多いだろう。
出勤・登校の過程で移動中何をしているのかたずねたところ、「窓の外の景色などを眺める」「音楽鑑賞」がほぼ同数でもっと多く3割強を占めた。また「携帯電話でメール」も3割を数えている。
出勤・登校の移動時にしていること
音楽鑑賞に用いる端末はウォークマンなどのテープ・CD媒体を利用するタイプと、iPodなどのデジタル音楽携帯端末の双方が想定できる。それを考慮して「音楽鑑賞」の半分がiPodなどのデジタル音楽携帯端末だとしても、相当数が「携帯端末」を出勤・登校時に用いていることが分かる。
また、濃い赤で囲った「携帯電話」に特化してみても、多くの人が携帯電話で時間つぶしをしているのが見て取れる。
●帰宅移動中は開放感が強い
帰宅の際の移動時になると、登校・出勤とは少々傾向が異なってくる。
帰宅の移動時にしていること
登校・出勤時は「これから勉強(仕事)だ」という見構えからか多少の緊張感が感じられる。一方帰宅時にはそれぞれの義務を終え、あとはゆっくりと自分の自由時間が待っているという開放感からか、自分の好きなことを楽しむ傾向が強い。また、携帯電話に限っても、登校・出勤時と比べて利用される頻度が多少なりとも増えているのが分かる。
●ゆとりを求めるため、他人の目など気にしてられない?
アンケート内では時間的・精神的なゆとりについての問いもあるが、いずれも「無い」と答えた人が「ある」と答えた人を上回る結果が出ている。また、移動時間に対する考え方では「楽しむようにしている」「もったいないと感じている」「身体を休めるようにしている」など、少ない「ゆとり」の中で自分の自由がある程度効く「移動時間」を有意義に使おうと考えているようすがうかがえる。
・「携帯電話」は
自分が没頭できる時間を創造するツール
↓↑
・他人の目など気にしてられない
タイトな日常生活
携帯電話が普及する前は、公共交通機関内で漫画を読むことすら行儀が悪いとしてたしなまれる一面もあった。今では、電車などの移動の際に携帯電話を用いることは当たり前となっている。それでも電車の扉が開いて中の情景が目に入る時に、座っている人のほとんどすべてが一心不乱にそれぞれの携帯電話を操作して、それぞれの画面に見入っている様子は、やはり一種の違和感や怖さを感じてしまう。
個人主義が広まり他人の目を気にしない傾向が強まったからこそ、携帯電話の一般の場における利用が日常化したのか、それとも携帯電話が普及したからこそ個人主義の加速化と公共機関での「他人の目を気にしない」傾向が強まったのか。どちらがきっかけでどちらが結果なのかは分からない。
いずれにしても、「心身共に『自分の自由な時間』を楽しむ」ためのツールとして携帯電話は欠かせないものとなり、それを使って「自分だけの空間」を作るにあたり、他人の目などあまり気にしていられない(それだけ時間的にタイトな日常を過ごさざるを得ない)、そんな現代人のライフスタイルがかいま見れる気がする。
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