新型戦闘機のヘルメットはフライトゲーム風!?
2007年11月12日 06:30
イギリス空軍(RAF)は11月9日、統合攻撃戦闘機(JSF、Joint Strike Fighter)として採用予定のF-35のパイロットに用いる、専用のヘルメットを公開した。このヘルメットを利用するとパイロットの目には通常の各種情報ではなく、計算の上記号化されたデータが映し出されるという(発表リリース)。
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F-35は単発単座のステルス性を備えた多目的用戦闘機として、アメリカやイギリスなどが共同開発を行なっており、現在両国の空軍や海軍が採用を予定している。イギリスの場合は現行で利用されているハリアー(シーハリアー)の代替機として採用予定。
今回公開されたF-35のパイロット用ヘルメットでは、HMDS(Helmet Mounted Display System)を採用。夜間でも赤外線を用いて、戦闘の上で必要になるさまざまな情報を提供していくという。
F-35のパイロットに採用予定のヘルメット。宇宙服用のものではない。
試験的に利用したパイロットをして「このヘルメットはJSF計画において重要な装備の一つであり、シンプルで確実な稼動を求められる」といわしめしたこのヘルメット。SF映画に登場する宇宙人か機械歩兵のようにすら見えるのだが(【先の防衛省開発の「ガンダム」の装備品】と言われても疑われないだろう)。
今件を報じた【DailMail】によると、もう少し細かい状況が描かれている。いわく、パイロットの頭の動きに応じてヘルメット内に映し出される外の様子が表示される(下を向けばパイロットの脚・床ではなく、機体の真下が映し出される)。さらに友軍機や鉄器のデータの各種データが、例え視認できない範囲にいても表示されるという。
DailyMailによる、F-35用HMDS搭載のヘルメット越しに見たパイロットの視界想像図
記者会見場でイギリス軍スポークスマンは次のように語ったとのこと。「コンピューターによってシンボル化された各種データや記号がパイロットの目には映し出されるようになります。赤外線を用いることでパイロットは『ターミネーター』のようなビジュアルで外のようすを見ることができるでしょう」
DailyMailには想像図(?)としてF-35のパイロットがどのようにヘルメット越しに外を見るのかが描かれている。「ここまでラフだと一昔前のゲーム機のフライトシミュレーターだろ」というツッコミを入れたくもなるが、一瞬の判断を要求されるパイロットにとっては、「必要な情報以外はすべて判断を誤らせるノイズでしかない」という事実もある。その観点からすると、まさに「シンプルイズベスト」。案外実物の視界もこれとさほど変わり無いのかもしれない。
実用ではシンプルさが追求され、ゲームではリアルさが求められる。今後、F-35のヘルメット内の視界画像が一般に広く公開されたとして、昨今の家庭用ゲーム機で発売されているフライト系ゲームの画面と比較して「どちらが実物の戦闘機のもので、どちらがゲームの画面か」と問われたら、果たして何人の人が正しく答えられるだろうか。色々と考えさせられる話ではある。
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