富裕層が急増するシンガポールやインド、中国は「超」富裕層が急増?
2007年11月10日 12:00
NTTデータ経営研究所が11月9日に発表した、メリルリンチなどによる【アジア太平洋地域ウェルス・レポート(APWR)2007年版】によると、2006年においてアジア太平洋地域で100万ドル(1億1000万円)以上の金融資産を保有している富裕層は、2005年比8.6%増の260万人となり、2006年における世界全体の伸び率8.3%を若干上回ったことが明らかになった。また、伸び率ではシンガポール・インド・インドネシアが20%前後の伸び率を見せ、急速に「富裕層」が増加している状況が見て取れる(【発表リリース、PDF】)。
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今レポートはオーストラリア、中国、香港、インド、インドネシア、日本、シンガポール、韓国、台湾を調査対象とし、各種統計データを元に現地の専門家に確認した市場レベルでの数字もあわせ、算出が行なわれた。また各国の通貨の違いについては年間平均レートで計算されており、大きなぶれは生じないとのこと(2006年の為替水準が2005年と同程度だったとしても0.06%ほどの違いしかないという)。
表中に使われているHNWIとは「High Net Worth Individual」で、要は「富裕層」の意味。ここでは100万ドル以上の金融資産を持つ人たちのこと。さらに3000万ドル(33億円)以上の持ち主を「Ultra HNWI(超富裕層)」と呼んでいる。
アジア地域における「富裕層の数」
全体としては2005年から2006年の富裕層は240万人から260万人に増加。各国通貨の対ドルレートの事情もあるが数では相変わらず日本が多く、中国、台湾、シンガポールが続く。
一方、増加率では日本が最下位となっている。上位はシンガポールの21.2%をはじめ、インド、インドネシア。なお中国は7.8%に留まっているが、香港の12.2%を合わせると20.0%に達し、インドに続く第三位となる。
ところがそれぞれの富裕層が持つ金融資産の額でグラフ化すると、大きな割合の変動が生じる。
アジア地域における「富裕層の持つ金融資産」
日本がトップであることに変わりは無いが、第二位の中国の割合が非常に大きいことが分かる。人数に比べて額が大きいということは、それだけ富裕層一人一人の金融資産額が多いことが想像できる。
それを裏付けるのが次の図。「富裕層」と「Ultra HNWI(超富裕層)」それぞれの人数の国別比率を比較したものだが、富裕層では人数・金額においてトップと第二位だった日本と中国が、超富裕層ではほぼ数で並んでいる。ちなみに超富裕層は太平洋地域では1万7500人ほどいるそうだ。
富裕層と超富裕層それぞれにおける、国別比率人数
「富裕層」における人口比率は日本が過半数を占めていたのに対し、「超富裕層」になると半減してしまう。そして中国が逆に2倍以上の伸びを占め、香港もそれとほぼ同じくらいの伸び率を示している。仮に香港を中国に加えると、35.8%になり、日本の28.6%をはるかに上回る値となる。
オリンピックをひかえ、昨今の株価急騰や相次ぐ新規上場による大商いの状況は日々耳に入っているのでご存知だと思うが、2007年は(今までのところ)2006年以上に中国株式市場は堅調さが見られる。2007年分のデータでは今回発表された2006年分以上に、中国や香港の「富裕層」「超富裕層」の数・金融資産額は共に増加していることだろう。
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