「運動の後には水よりビールを」?科学者が新説提唱

2007年11月04日 12:00

スポーツイメージベーコンやハム、ソーセージなどの肉系おつまみはもちろん、ビールそのものも身体にはプラスにならないとの説が世間一般では主流。そのような状況の中、スペインの大学で異説を唱える学者が現れた。いわく「運動の後には水よりビールを飲んだ方が身体に良い」というものだ。

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スペインの教授いわく「運動後の脱水症状改善にはビールが良い」

元記事は【Daily Mail】。「運動の後には水よりジョッキ1杯のビールの方が良いと科学者は語っている(A pint of beer is better for you after a workout than water, say scientists)」というタイトル。記事によるとスペインのGranada大学のManuel Garzon教授は数か月にわたる25人の学生への調査研究結果として、この結果を導き出した。

具体的には次のような実験が行なわれた。高温におかれた環境下で「ギブアップ」するまで学生を運動させる。そして彼らの運動能力や脱水症状の割合、集中力などを測定。その上で半分の学生には一定量のスペインビールを、もう半分には水を与えた(両方のグループにはその後、好きなだけ水を飲んでよいとの許可を出した)。その後それぞれのグループの検査をしたところ、「水を飲んだグループよりビールを飲んだグループの方が、脱水症状の改善がわずかながら見られた」という結果が出た。

この現象について教授は「ビール内の二酸化炭素がプラスに作用したのだろう」と述べている。そして「もちろんビール内に含まれる炭水化物が、せっかく運動で消費したカロリーを補填してしまっているというデメリットもあるのだが」とも付け加えている。

教授はこれらの研究結果から、運動選手に対して「男性なら一日500ミリリットル、女性なら1日250ミリリットルのビールを食事と共に飲みなさい」と推奨している。脱水症状の改善が遅れると、疲労や頭痛などの症状をもたらすことがあるが、これらも改善されるだろうとのこと。

身体にはよいかもしれない、が……

また別の話として、あるビール会社の広報担当は「適量のビールは身体に良い( "moderate levels" of beer had beneficial health effects)」とも伝えている。過去の研究によれば適量ならば心臓病や糖尿病、パーキンソン病のリスクを減らすことができる、というものだ。それは成分のビタミンやミネラルを起因とするとのこと。

ここまで話が進むと「ビールって身体に良いとはいえないと言われてるけど、実は……?」とも考えてしまう。しかし元記事ではちゃんとオチがついている。Bath大学の脱水症状関係の専門家でもあるJames Betts博士は「少量のビールなら(Manuel Garzon教授の調査結果にあるように)脱水症状を改善するのにはプラスになるのかもしれない」とした上で、次のように述べている。

「砂糖や水、塩分を含んでいるスポーツ飲料が、運動した後の脱水症状改善には一番良い(The best way of rehydrating after exercise was with a sports drink containing sugars, water and salt.)」


つまり、ビールはあくまでもスポーツ飲料の代替品でしかなく、しかも効果はスポーツドリンクほどは望めない。その上カロリーが大きいので、エネルギー消費やダイエットなどの点では確実にマイナスに作用してしまう、ということだ。冒頭の「運動の後には水よりビールを飲んだ方が身体に良い」には「しかしスポーツドリンクがあるのならそちらにしなさい」が追加されるべき、ということ。

「心臓病や糖尿病にプラスの働きをする」云々のことは説明が行なわれていないが、概して似たようなものかもしれない。加えて運動直後で血流が速くなっている時にアルコールを摂取しようものなら、早く「酔い」がまわってしまい、エラいことになりかねない。学説は学説として留めておくことにして、やはりビールで代用することなく、あらかじめスポーツ飲料を用意しておいた方がよさそうだ。

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