人付き合い 苦手は6割 「わずらわしい」は8割も
2007年11月29日 12:00
【gooリサーチ】が11月28日に発表した読売新聞社との共同企画調査結果によると、人付き合いが「苦手」と感じている人は約6割、「わずらわしさ」を感じる人は8割強にものぼることが明らかになった。他人との付き合いの難しさに悩み、あるいは苦手意識を持っている人が多い現代社会の実情を改めて確認できる調査結果といえる(【発表リリース】)。
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今調査は10月22日から25日の間にインターネット経由で全国の10~30歳代の男女に対して行なわれたもので、有効回答数は551。男女比は約1対1。職業内訳は学生が38%、正社員29%、専業主婦・主夫10%など。年齢階層などは一般公開されていない。
●「人付き合いが苦手」な度合はどの年齢層も同じ
人付き合いが苦手か得意か。元々の性格や育成環境などさまざまな要素が絡んでくるが、必ず「得意」でなければならない、というものではない。しかし「得意」な人が「苦手になりたい」と思う状況がまず想定できないのに対し、「苦手」な人が「得意になりたい」と考えているパターンは大いにあるところから「できれば得意になりたい」というのが大方の意見だろう。
「人付き合い、苦手か得意か」という問いには全体で40%が得意、60%が苦手と答えた。
人付き合いは苦手? 得意?
年齢の上限が30歳代ということもあるが、年齢階層別の違いは特に無く、大体「得意:苦手」の割合は「4:6」に落ち着いている。「得意といえる人が4割もいる」のか「苦手と考えているのが6割もいる」と見るべきなのか考えさせられるデータではあるが、人付き合いが苦手と考えている人が過半数を超えているのは、不特定多数の他の人と共に暮らすという社会生活を営む「人間」としては、憂慮すべき数字なのかもしれない。
●義理も人情も面倒な世情!?
「得意・苦手」とは別の観点で人付き合いを考えてみよう。人付き合いが「うざい」「面倒くさい」「わずらわしい」と考えている人はどれくらいいるのだろうか。いつも、というわけではなく「わずらわしい、と感じることがある」という「経験の有無」についてたずねたところ、実に8割以上の人が高い頻度で「ある」と答える結果が出た。
人付き合いのわずらわしさを感じたことがあるか
どんな人間にでも相手との付き合いをわずらわしいと感じた経験はあるはず(自覚の有無を問わず)。しかし頻度が高いかどうかは人による。「ときどきある」「よくある」という、いわば常日頃から「人付き合いがわずらわしい」と感じている人の割合は実に83%に登る結果が出た。
「苦労する」や「手間がかかる」「難しい」ではなく、否定的意味合いの大きい「わずらわしい」という表現に対してこれだけの値が出ていることから、人付き合いそのものに肯定的な心境を持っている人が実は少ないのではないかという推論すら立てられてしまう。
なぜ否定的意味合いの強い「わずらわしさ」を人付き合いで感じるのか。本人の性格か、あるいは相手のせいか、それとも社会的風潮か。それが分かりそうなのが次の問い「どんな時に人付き合いでのわずらわしさを感じるか」というもの。何らかの形でわずらわしさを感じる、と答えた人にのみ問い合わせた結果である。
「どんな時に人付き合いでのわずらわしさを感じるか」
もっとも多い回答が得られたのは、「義理での付き合い」。義理での付き合いにおいて「わずらわしさ」を感じているということは、その人付き合いは本性としては「したくない」、けど「せざるを得ない」「半ば強制的にされている(と考えている)」ことになる。また、第三位の「相手からひんぱんに連絡を取るよう求められるとき」も、連絡を強要されるという、拘束感への反発が「わずらわしさ」をもたらすものと考えても良い。
一方第二位の「自分の本音や素直な気持ちを出せない時」は、自分自身の表現力の稚拙さにもがき、嘆き、そしてあきらめたがために「わずらわしさ」を感じているようにも見受けられる。
以上上位三位の意見のみが4割以上の同意を得られていることから、この三要素に絞って「わずらわしさを感じる原因」を推測してみると、一つは「強要への反発」、もう一つは「自分の能力不足(とそれへのあきらめ)」がポイントだと思われる。前者は「わがまま」の裏返し、後者は鍛錬・経験不足とも読み取れるが、今回調査対象となった若年層(当方含む)には、まだまだそのように判断するだけの経験が足りないのかもしれない。
●人付き合いの秘訣は「相手への思いやり」!?
人付き合いがわずらわしい、面倒だと思っていても、無人島や岩窟王になるわけでもなく、社会生活を営む以上、他人との交流を断つわけにはいかない。必然的に人付き合いも不可欠になる。他人との触れ合いの中で、反発ばかりしていてばよけいに自分が辛くなるだろう。わずらわしさを乗り越えて、どこかで妥協しなければならない。そこで人付き合いを円滑に進めるため、それぞれが心がけていることをたずねてみたところ、「相手の立場を配慮する」という回答が過半数を超えていた。
人付き合いを円滑にするために心がけていること。
トップの「相手の立場を配慮する」以外にも「相手の意見を尊重する」「相手の話にあわせる」など、「相手のことを思いはかる」要素が上位を占めている。
インターネットや携帯電話、テレビなどメディアの普及で、他人との情報交換の機会や情報量は日々増加を続けている。にも関わらず逆に人付き合いに苦手意識を持つ人が増えているようにも見える。これは一つに「情報量が多すぎて処理できずお手上げになってしまう(あるいは「足りない部分を想像する」能力の訓練が不足している)」、そして「直接会わなくとも意思疎通が可能なので、リアルな人付き合いに慣れていない」ということが理由にあると思われる。
「思いやり」「想像力」
技術の進歩で便利になったがために、かえって(今流行の言葉らしいが)「人間力」そのものが訓練できずに低下してしまっているのではないか。その一旦が「人付き合いが苦手」「人付き合いはわずらわしいと感じる」人が増えている、という結果をもたらしているのかもしれない。
よく語られる言い回しに「他人の立場になって物事を考えなさい」というものがある。また、当方が昔読んだ書籍に「自分がしてほしいと思うことを相手にしてあげなさい」というセリフ回しがあったのを覚えている。相手のことを自分のことのように考え、思いはかる想像力、つまり「思いやる」気持ちが、人付き合いを円滑にこなすコツなのかもしれない。
失敗も多いだろうし、後になって恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にしながらのた打ち回ったり、後悔し切れなくて頭を壁に打ち付けたくなるような経験もするだろう。しかし人間は学習する動物である。経験を重ねていくうちに、コツを学び、(「一人でいる方が好き」など元々の性格的な個人差はあるし、一般論として普遍化するのは多分に問題があるかもしれないが)人付き合いに苦痛を感じることがなくなっていくはずだ。
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