がん検診 受けた経験 約3割
2007年11月13日 08:00
内閣府は11月12日、「がん対策に関する世論調査」を発表した。それによると死因の上位を占める「がん」について、健康診断で検診を受けている人は多くて3割程度であり、半数以上の人が「がん検診を受けていない」と回答していたことが明らかになった(【発表リリース】)。
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今調査は今年の9月13日から23日、調査員による個別面接によって行なわれたもので、有効回答数は1767人。男女比は820対947。年齢構成比男女まちまちだが、男性は60代、女性は50代の回答がもっとも多い。
【日本人の「3人に2人が『がん』になる」「2人に1人が『がん』で亡くなる」・がんの2015年問題とは】や【平均寿命上昇の傾向、女性は世界一の85.81歳、男性も第二位に】などですでにお伝えしているように、三大疾病と呼ばれる「脳血管疾患」「心疾患」「がん」の中でも「がん」を死因とする割合はもっとも多く、三つの中で過半数を占めている。全死因の中でも3割以上、40代以上の死因のトップが「がん」である。
主要ながん検診について、過去に受けたことがあるかをたずねたところ、次のような結果が出た。
■胃がん
・受けた経験無し……46.2%
・受けた経験あり……53.3%(2年以内:37.5%)
■肺がん
・受けた経験無し……52.0%
・受けた経験あり……47.2%(2年以内:39.2%)
■大腸がん
・受けた経験無し……54.7%
・受けた経験あり……44.4%(2年以内:32.4%)
■子宮がん(女性のみ)
・受けた経験無し……37.9%
・受けた経験あり……61.3%(2年以内:39.0%)
■乳がん(女性のみ)
・受けた経験無し……50.2%
・受けた経験あり……48.8%(2年以内:32.4%)
■その他のがん
・受けた経験無し……78.7%
・受けた経験あり……14.2%(2年以内:10.4%)
がんはほとんどの場合において、ある程度進行しないと自覚症状が現れない。そして自覚症状が明らかになった時には、状況がかなり進展している場合が多い。そのような傾向から、がん検診は自覚症状が無くとも定期的、できれは毎年行なうのが「早期発見・早期治療」にはもっとも良い対策。しかし調査結果を見ると、
・半数前後が「がん検診の経験無し」
・定期的にがん検診を受けていると思われる人は3割程度
・若年層はがん検診を受けている割合が特に低い
・女性特有の「がん」には問題意識の高まりからか、がん全般と比べるとやや検診率が高い
などの傾向が見て取れる。
がん予防には必要不可欠ながん検診。ではなぜ多くの人が検診をしていないのか。その理由を尋ねたところ、「たまたま受けていない」という人のほか、「がんにかかっていない自信があるから」と答えた人が多数を占めていた。
「がん検診」をしない、していなかった理由
「たまたま受けていない」はともかく、「健康状態に自信があり、必要性を感じないから」「心配な時はいつでも医療機関を受診できるから」など、「がん」の本質をあまり理解していないような意見、「時間がなかったから」「面倒だから」「まだそういう年齢ではない」など啓蒙を必要とするような意見が多く見られる。
その一方、「費用がかかり経済的にも負担になるから」「結果が不安なため、受けたくないから」なと行政機関のサポートのさらなる必要性を感じさせる意見も見られる。
年齢別では「たまたま受けていない」を挙げた者の割合は30歳代、「健康状態に自信があり、必要性を感じないから」「心配な時はいつでも医療機関を受診できるから」を挙げた者の割合は意外にも70歳以上に多い。一方「時間がなかったから」は、他の記事でもたびたび挙げられている「多忙な年齢層」こと30・40歳代に多い。
「がん」には早期発見・早期治療が最良の対処方法であるため、日頃からがん検診を心がけ、早期発見をすることが何よりの対応策。しかし世間一般に「がん検診」そのものがあまり認知されていないこと、そして「自分は大丈夫」という何の裏づけもない安心感や面倒くささから普及率があまり高くないことが懸念されていた。今回の内閣府の調査により、その傾向が改めて確認されたことになる。
医療技術の進歩により、決して「不治の病」ではなくなりつつある「がん」。自分自身が発病する可能性を否定する根拠はどこにもない。【郵送検診】でもかまわないので、機会があれば、ぜひ検診を受けてみよう(本来ならすべての検診パターンにおいて、何らかの補助金制度があるべきなのだが……)。
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(最終更新:2013/08/18)
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