日本国内金融機関が抱えるサブプライムローン商品、9月末時点で1兆3300億円分

2007年11月23日 12:00

金融庁は11月22日、渡辺喜美金融担当大臣の談話として、日本全国の預金取引金融機関が保有するいわゆる「サブプライムローン」を資産に組み込んだ証券化商品の残高が、今年9月末時点で1兆3300億円にのぼることを明らかにした。また、現時点において評価損・売却損などの損失額は2300億円程度に達しているとのこと。同庁では「影響は限定的」としながらも10月以降も信用縮小や損失の拡大が懸念されるとしている(参照:NHKなど)。金融庁内の【談話公開ページ】では現時点で22日分のものはまだ公開されていない。

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「サブプライムローン」とはアメリカにおいて信用担保力の低い人たち(主に低所得者)に対して行なわれた住宅ローン。信用力が低いため一般のローンと比べると金利が高く、さらに2年後から金利が急上昇するのが特徴。住宅供給が過剰となり住宅市場が低迷し、また金利上昇後に支払いが出来なくなり住宅を追い出される低所得者層が増加、ますます住宅市場が飽和状態となると共に「サブプライムローン」そのものが焦げ付きつつある。それと共に「サブプライムローン」を組み込んだ各種証券も大きな損失を抱えているのが現状。

発表によれば今年9月末時点で日本国内の金融機関が抱えている「サブプライムローン」関連金融商品は次の通り。

・大手金融グループなど主要金融機関10行……1兆2000億円
・地方銀行110行……1100億円
・信用金庫や信用組合……200億円


これらを合わせて、日本国内におけるサブプライムローン関連商品総額は1兆3300億円となる。

昨今のメガバンクの決算発表でも多数の額の損失計上が行なわれたことからもお分かりのように、現在これらの金融商品は急落に価格の下落を続けている。9月末時点で「評価損」や「売却損」の合計は2260億円に達しているという(内訳は「評価損」が1070億円、「実現損」が1190億円)。「確定損失」だけでなく「現在の価格で概算した評価損」も含まれるので、今後市場が下落を続ければ、さらに損失が拡大する可能性は十分にある。

渡辺金融担当大臣は「欧米の金融機関と比べると日本の金融機関の保有残高は少ない。しかし市場の正常化にはある程度の時間が必要である。引き続き警戒していきたい」とコメントしている。

【米メリル、サブプライムで評価損9100億円に拡大し赤字転落へ】の例にもあるように、欧米では複数の企業が1社(1グループ)で億円どころか兆円単位の損失を計上している。しかも確定ではなく評価損のため、今後さらに拡大する可能性はある。渡辺金融担当大臣の「欧米と比べれば」という言及もあながち間違ってはいない。

しかし元々サブプライムローンそのものが「アメリカの」住宅ローンを根源としているもの。昨今の株式市場が欧米市場の軟調さにつられて(あるいは懸念を受けて)下落の一途をたどっている状況にもあるように、日本の金融機関自身がさほど「直撃」を受けなくとも、欧米企業の「直撃」による火の粉が降りかかり(例えば自分では一切関連商品を持っていなくとも取引先や株式を保有している企業が「直撃」を受けて倒れたりすれば、間接的に影響を受けることになる)、手持ちの損失とは別の影響を受ける可能性は否定できない。

過度の慎重さや不安にかられるのも問題。同時に現状では楽観視するのはまだ早いと思われる。【サブプライムローン問題、「予想・防止共に可能だった」米紙論評】にもあるように、一連の経済信用不信の根本「サブプライムローン」の借り入れの中で金利上昇による「焦げ付き」がもっとも増えるのは今年ではなくて来年。今しばらくは慎重さが求められよう。

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