「物価は上がる」初の7割超え
2007年11月14日 06:30
内閣府が11月12日に発表した統計データによると、「1年後に物価が上昇する」と考えている世帯は全体の76.3%にのぼることが明らかになった。2004年4月以降はじめて「上昇する」回答者の割合が7割を超えており、消費者の物価上昇への懸念が高まっていることがうかがえる(【消費動向調査発表リリース】)。
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今調査は一般世帯6720世帯を対象に10月15日に行なわれたもので、有効回答数は5042世帯。そのうち単身世帯は1480世帯。
今調査結果では消費者の消費に関するさまざまな意識に関するデータが掲載されている。例えば「消費者態度指数」「消費者意識指数」は、暮らし向きや収入の増え方、雇用環境、資産の増え方についてポジティブな方向に向かっているのかネガティブなのかが分かる数字なのだが、一様にして低下していることが分かる。
「消費者態度指数」「消費者意識指数」
昨今はバイオエタノールによる農作物の作付けの大幅な変化、気象変動、新興国の需要急増、投機筋の介入などで食品原材料が急騰し、物価全体を引き上げる形となっている。公共料金や耐久消費財の値上げのニュースは毎日のように報じられ、家計簿につける数字も頭が痛くなるものばかりな状態。
このような状況の中で、「1年後物価はどうなっているのか」たずねたところ、最新のデータでは実に74.4%の世帯が「物価は上昇する」と答えている。
物価の見通し(総世帯で「上昇する」回答者、総計面グラフ)
物価の見通し(総世帯で「上昇する」回答者、上昇率項目別折れ線グラフ)
全体としては「物価が上昇する」と考えている人は去年の夏以降いくぶん減少傾向にあったが、今年の春先以降は上昇を続けている。そして最新の10月分データではついに7割以上の人が「1年後物価は上昇している」と答えており、物価の先行きに対する不安感が広まっているのが分かる。
グラフの下側、物価上昇率の度合ごとの変化を表した折れ線グラフを見ると分かるのだが、元々「2%未満くらいは上昇するだろう」という「物価上昇には違いないが、やや楽観派」は元々多く、以前からじわじわと上昇傾向にあった。一方で去年の夏以降一時的に「物価は上昇する」全体が減少した立役者となっていた「2~5%」「5%以上」のグループが、今年の春以降大幅に上昇している(むしろ「2%未満」が減り、その分「2~5%」「5%以上」に回った感すらある)。
伸び率で見ても、「2~5%」「5%以上」の伸び率は、春先のそれと同様に大幅なものを示している。とりわけ「5%以上」という「大幅に物価が上がる」と考えている人の割合が10月に急上昇しているのは注目に値する。
消費者が思うが通りに物価が動くのなら、全員に「物価が下がるように考えなさい」とでも命じるのだが(笑)。実際にはそうでなく、むしろ世の中の物価動向に敏感な消費者たちの感性が、このような将来への予見を示していると見た方が良い。
景気回復の言葉は連呼されど、会社の従業員を世帯主に抱える一般世帯において手取り収入に変わりはない。しかも物価の上昇を感じさせる、商品の値上げは相次いでいる。今回発表されたデータも、消費の減退と生活の厳しさが今後さらに加速することを予兆させるものといえよう。
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