相次ぐ食料品の値上げ、理由を知っているのは7割・「仕方ない」けど「企業努力」も
2007年11月01日 08:00
ヤフーバリューインサイトは10月30日、最近相次ぐ食料品の値上げに関する認識などの調査結果を発表した。それによると食料品の値上げについて理由を何らかの形で知っているのは全体の7割に留まっていることが明らかになった。また値上げそのものについては「事情が事情なので仕方ない」が「それでも企業努力を欠かさないように」という、現実への冷静な認識と願望が入り混じる思いを多くの人が持っていることが分かった(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は中学生をのぞくインターネットを利用する女性に対し10月14日・15日に行ったもので、集計数は300人。年齢層は10~50代まで各60人ずつ。調査数が少なめなため、世間一般の意見や傾向とはぶれが生じている可能性を認識した上で結果を見る必要がある。
●値上げがもっとも目立つのは「小麦粉」
今年も後半に入ってから主要食料品メーカーで主力商品の値上げが相次いでおり、それこそ毎日のように「値上げ」の言葉が新聞やネット上に踊っている。定価が引き上げられたり内容量が減っていることを認識している人は、調査層全体の89%に及んでいる。
それではどのような食品で「値上げ」(内容量削減による実質値上げ含む)が発表されたことを知っているのかについてたずねたところ、「小麦」がもっとも多く56%の人が知っていると回答した。
「値上げ発表」を知っている食品
過半数を超えている食品は「小麦粉」「菓子」「カップめん・生めんなどめん類」の3種類。年齢層別のデータが公開されていないので詳細は不明だが、恐らく低年齢層では「菓子」、中堅層以上では「小麦粉」「カップめん・生めんなどめん類」など日常的に消費し、かつ購入頻度が高いもので「値上げを実感」しているものと思われる。
●値上げの理由「知らない」は3割
食料品がタイミングを見計らったかのように続々値上げをしているのは、他社が値上げを発表し値上げしやすい雰囲気なこともあるが、それよりもさまざまな理由で原材料が高騰していることが原因。新興国の消費量急増やバイオエタノールの量産による他食品の作付け面積の減少、オーストラリアの干ばつに代表されるような地球環境の変化による生産量の減少、原油高など、数え上げればきりが無い。
それらの理由について「知っている」「なんとなく知っている」をあわせた「知っている派」は全体の7割に達していた。逆に考えれば3割の人は「知らない」と答えている。
食料品が値上げしている人を知っている人のうち、値上げの理由を知っているかどうかへの回答
特に10代において「理由は知らない」と答える人が多く、全体の半数近くを占めている。一方50代以上では「なんとなく知っている」が過半数を占めており、雰囲気的に、あるいはニュース報道などでつまみ食い的に理由を耳にして何となく分かるが、詳しく説明を求められると「うーん、どうかな」と答えに窮してしまう様子がうかがえる。
前者の「知らない」が半数を占める10代は少々問題があるが、50代の「なんとなく知ってる層が過半数」は「ともあれ問題認識を持ってもらうことが重要」という考え方からすれば、満足すべき値なのだといえよう。グラフからも分かるように、「知っている」派の数は(「よく知っている」人の割合はまちまちではあるものの)年齢が上がるにつれて確実に増えている。テレビなどを見る機会が増えていることや、実際に購入して値上げを体感する回数が多い(ので気になって調べたり覚えてたりする)のがその理由だろう。
理由を説明した上で食料品の値上げについて自由回答でたずねたところ、「値上げは仕方が無い」と答える人が多いのが目についた。これを機会に地産地消を考え直すべきでは、少しくらい高くとも安全なのが良い、というように値上げをポジティブに考える人もいれば、「報道が分かりにくい」「便乗値上げに見えるものもある」「政府の対策などの遅れが問題」「各方面の努力が足りない」など、関係各所に対し容易に値上げに走ることへの警告を発している意見も見受けられた。
当サイトでも一時期主要食品メーカーの値上げを逐次お伝えしていたが、ある時期以降あえてお伝えしないようにしていた。いくら報じてもきりがないことや、「○×年ぶりの値上げというか、その年数の間ずっと素材や分量、製法などが変わらなかったわけではない。原価などまで考慮すると『値上げ』と騒ぎ立て過ぎるのもどうか」という意見があり、それに一定の同意をしたからである。恐らくどこかでまとめサイト的なものを創っている人がいるだろうし、値上げ報道の集約はそこに任せておけばよい。
「ここまで一斉に値上げされたのでは便乗値上げと思われても仕方が無い」という意見には同意せざるを得ない。数年ぶりならともかく、多くの企業が十年単位での値上げ実施というものばかりだからだ。原材料の値上げを別にすれば、ここまで一斉にタイミングが合うのは奇跡に近い。一方で、上記に挙げた値上げの理由をチェックすれば、いちどきに多社が値上げに踏み切らざるを得ないのも仕方ないことが理解できよう。
消費者に出来ることといえば、安全面などを考慮した上での「一円でも安いものを選ぶ」という自己防衛。それと共に、最近値上げの話と共によく話題に登る、そして密接な関係にある「安全性への問題」に今まで以上に監視の目を光らせることも必要になるのだろう。
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