老後に向けた資産運用は日本株や投信で、運用資産は500~2000万円
2007年11月20日 08:00
gooリサーチが11月19日に発表したデータによると、50代の約7割が老後資産には2000万円以上は必要であると考えていることが明らかになった。その老後資産構築のために行なっている資産運用方法としては日本株式や投資信託(投信)がメインで、500万円から2000万円と一定額を投入していることも分かった(【発表ページ】)。
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今調査は11月9日から12日に50代の働き人に対してインターネット経由で行われたもの。男女比は87.8対12.2。有効回答数は1045人。
●7割が「老後資金は2000万円以上必要」
老後資金の使い道には「国内旅行」「自分や配偶者の自己啓発・趣味」「家族との団らん」など、日常生活の充実にあてたいとする回答が多い。その目的に使う資金額はどの程度を想定しているのだろうか。
老後資金の想定額
もっとも多い層は「3000~5000万円」の23.8%。次いで「2000~3000万円」の22.7%。この二つをあわせた「2000~5000万円」で約半数を占めていることになる。2000万円以上の層をすべて足すと70.4%。7割強が「老後資金には2000万円以上は必要だ」と考えている。国内旅行など消費理由は比較的地味なものではあるが、ちりも積もれば何とやら。まとまった額が手元にあった方が、気兼ねせずに楽しめるということなのだろう。
●資産運用額は500万~2000万円が中心
老後に向けた資産運用をしている人に全金融資産の何%を運用しているかたずねたところ、「10~30%程度」と答えた人が過半数をしめたという。さらに具体的な金額については「500万~1000万円」「1000万~2000万円未満」がそれぞれ2割弱となった。
資産運用額
非常に荒い計算ではあるがすべて平均値で運用資産比率・額を掛け合わせてみると「1000万円=5000万円×20%」で、金融資産全体の額は5000万円前後ということになる。また、500万~2000万円の層が4割近くを占めていることから、一定規模の金額を資産運用にあてていることも分かる。
ちなみに運用している(購入している)金融商品は預貯金などをのぞくと次の通り。
・投資信託……5割
・国債……2割弱
・外国株式……1割未満
・FX(外国為替証拠金取引)……1割未満
株価が低迷している昨今ではあくまでも(為替の影響も受けるFXや外国株式と比べると、という意味での)比較論でしかないのだが、「安定的な」資産運用先として日本株式や投信を選んでいることが分かる。
●シニア世代も投資にインターネットを有効活用
最近購入した金融商品の購入経路は「インターネット証券」と答えた人がもっとも多く、5割近くを占めた。シニア層においてもインターネットを活用した投資活動が広まっていることが分かる。
最近購入した金融商品の購入経路
【シニア層は金融商品に対して勉強熱心・1日1回はネットで情報収集、運転資産は4桁前半】や【ネットを使いこなすシニア層、金融商品取引も経験豊富】でも、金融面においてもインターネットを使いこなすシニア層の姿が浮き彫りにされている。「若年層はネットで、壮年層は対面・電話取引で投資」というイメージはそろそろ時代遅れのものになりそうだ。
ただし、リスクの理解度については今ひとつ不安なデータも出ている。金融商品のリスクへの理解度は「誰かのサポートを必要とする」「実はほとんど理解していない」が3割弱を占めている。学ばなくても何とかなると考えているのか、あるいは理解しやすい素材が無いのが原因なのかは分からないが、リスクが多分に存在する金融商品において、10人に3人が「自分では何も分からない」という状況は問題だろう。
それでは50代シニア層が求めている、金融商品をよりよく理解するために求めている素材は何だろうか。過半数以上が「要領を得たパンフレット」という、オーソドックスだが確実な手段を求めている。
金融商品のよさやリスクを分かりやすくするために有効だと考えている方法
インターネット証券を利用している人がもっとも多い一方で、パンフレットやコンパクトにまとまった資料・目論見書を求める声が多いということは、「現状のネット配信資料では(置き場所も含め)分かりにくい」と考えてもよいのだろう。インターネット経由のビデオや音声による説明もさることながら、読みやすい・分かりやすいパンフレットや資料、目論見書を作り、紙媒体とネット経由の双方で配信し、後者においては「どこにあるのかが一目で分かるような」仕組みで提供する配慮が必要になると思われる。
先日施行された金融商品取引法では消費者保護の観点から、金融商品をお客に売買する際の注意事項がこれまで以上に増えている。そのおおもととなる考え方は「十分に内容を理解し、納得した上で購入するかどうかの判断を下してもらう」というもの。
「話を聞いたり調べたけれどあんまり良く分からない。でも儲かりそうだから(儲かりそうだと言ってるから)買ってみようか」という意志のお客には、原則として金融商品を販売してはいけないことになっている。証券取引の旗振り役である東京証券取引所でもサイトをリニューアルし、初心者向けのコーナーを用意して門戸を開く姿勢を見せているし、各証券会社や金融機関でも説明がこれまで以上にていねいになると共に初心者向けサービスの充実を模索している。
今後定年退職を迎えた人や迎えようとする人が増えると共に、ライフプラン(自分の一生を色々なイベントと絡めてお金のやり取りの面から考えた「設計図」)の上で、金融商品で資産運用をして資金を増やそうと考えを持つ人も増加の一途をたどる。それなりの資産を持つこの層を有効に取り込むのはもちろん、「ライブドア・マネックスショック」のような不祥事で大量の「退場者」を出して市場の信頼を損なうことのないよう、関連方面には初心者に向けたサポートの充実を強くお願いしたいところだ。
(最終更新:2013/08/18)
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