「月一以上で利用」4割近く、「平日夜が便利だね」・コンビニATMはもはや欠かせない存在に
2007年11月14日 06:30
【マイボイスコム】が先日発表した調査結果によると、コンビニエンスストアに設置しているATM(Automated Teller Machine、現金自動預け払い機)について、利用率は実に7割近くにのぼっていることが明らかになった。また、4割近くの人が月一以上利用するなど、定期的にコンビニATMを活用していることも調査結果から判明した(発表リリース)。
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今調査は10月1日から5日の間、インターネット経由で行なわれたもので回答者数は1万7021人。男女比は46対54で、年齢階層は30代がもっとも多く39%、40代が27%など。
コンビニATMは、1998年に当時の三和銀行(現【三菱東京UFJ銀行(8306)】)が[ローソン(2651)]内に設置してあるダイエーOMCのキャッシュディスペンサーにおいて、三和銀行のカードでも残高照会・現金引き出し可能なサービスを開始したことが始まり。単独のATMとしては翌年に当時のさくら銀行(現【三井住友銀行(8316)】)がam/pmに設置したのが初めてとなる。
●「月一以上の利用」4割近く
コンビニのATMをどれくらいの頻度で利用しているかたずねたところ、「月一以上」と答えた人が合わせて37.0%と4割近くを占めた。
コンビニATMの利用頻度
利用者のうちもっとも多い頻度回数は「月2~3回」の18.2%、次いで「月一」が11.8%となる。利用経験のある人は全体で2/3を占める一方、一度もコンビニのATMを利用したことがない人も3割強存在している。
●使う理由は「自分の銀行口座が利用できる」「出先のそばにある」「手数料が安い・無料」
利用するコンビニは【セブン・イレブン(3382)】ローソン[ファミリーマート(8028)]の順で、セブンイレブンの寡占状態が強まる傾向にある。ただこれはコンビニそのものの展開状況に大きく左右されるところがあり、コンビニ内のATMとはさほど関係はなさそう。
むしろ気になるのは「どこのコンビニのATM」ではなく、「なせそのコンビニのATM」を利用するのか。コンビニATMの利用理由についてたずねたところ、「自分の口座を持っている銀行が利用できる」と答えた人がもっとも多く、50.5%と過半数を占めた。
コンビニATMを利用している理由
最近ではコンビニで使えるATMはほとんどが【全国銀行協会】に加盟している銀行の口座ならばどこでも利用でき、さらにゆうちょ銀行(旧郵便局の郵便貯金)の口座も使えるところが多い。利用する理由としてはもっともであるが、いまや「当たり前」の部類に入るといえよう。
身近でお金の出し入れが出来る。
よく利用するコンビニで使える。
利用可能時間が長い。
一方、「コンビニの」ATMならではのメリットも上位についている。自宅や勤務先、学校などに自分の口座の銀行があればわざわざコンビニATMを使う必要はないが、無い場合でもお金の出し入れが出来るのは非常にありがたい。「そもそもそんな銀行に口座を作るのは間違いでは」という意見もあるだろうが、自宅のそばにその銀行があっても、勤務先のそばには支店が無い、という状況はよくある話。
「よく買物をするコンビニ」「利用可能時間が長い」はまさにコンビニ内ATMならではのメリット。「銀行の支店・ATMが近くにない」は直上の「自宅・勤務先~」とほぼ=の回答として考えることもでき、これを合わせると「口座を持っている銀行が利用できる」を超えてトップに立つことになる。やはり「身近に使える」のが最大のメリットのようだ。
なお「手数料が安い・無料」はあくまでも比較論であり、よほどのことがない限り銀行自身のATMより高いことは無いので、検証からは除外した。
●コンビニATMはコンビニにとってプラスとなるステキ設備
コンビニATM利用者に、ATM利用時にコンビニに行った目的としてもっとも多いものをたずねたところ、「ATMを利用する目的でコンビニに行き、ついでに買物もする」と答えた人が42.4%ともっとも多かった。
コンビニATMを利用した時の目的
ATMを利用するだけでコンビニ内の商品を素通りしてしまう人も4割強いるが、コンビニにとってはありがたいお話である「ATMを使うついでにお買い物もしてくれる」人が4割もいる、つまりは「ATMのおかげでお客になってくれる人」がコンビニATM利用者の4割もいることになる。
もちろんATMを利用しなくともコンビニに行ったかもしれないが、その購入モチベーションは低く(ATMに行かねばならないほど財布の中身が寂しいのだから)行ったとしても大した買物はしないだろう。また、「買物をする目的でコンビニに行き、ついでにATMも利用する」人も13.0%おり、この層の人たちも「コンビニでの買物の単価がATM利用で引き上げられる」可能性が高いことになる。
自分自身の行動を思い返して「財布の中身が寂しいけどATMでおろしてから買物すればいいか」とコンビニに立ち寄る経験のある人は、少なからずいるはずだ。
●銀行の補完を果たすコンビニATM
コンビニATMの利用時間を複数回答で尋ねたところ、面白い結果が出ている。平日は夕方15時以降、特に18時から21時の間の利用時間がとりわけ多く、その一方で土日祝日は深夜を除けばほぼ利用頻度は横ばいになっている。
コンビニの利用時間帯
最近では24時間体制や17時まで開業している銀行も増えてきたが、基本的には銀行の開業時間は9時から15時まで。コンビニのATMの利用頻度が15時以降急増しているのは、銀行業務が終わったあとにお金の出し入れが必要になった人が、間違いなく開いている(利用できる)コンビニATMを活用するからだと思われる。
特に18時から21時に多いのは、上記の設問にあるように「仕事帰りにコンビニに寄り、ATMでお金をおろしてから買い物をする」パターンが多いからだろう。
他方土日祝祭日で時間に隔たりなく利用頻度が横ばいなのは、そもそもその曜日は銀行が休みだから、というのが理由なのだろう(銀行のATMコーナーも土曜日は開いている場合もあるのだが……)。
設置当初は防犯上の懸念や、元々「1平方センチでも無駄にできない」コンビニにおいて一定面積を確保しなければならないATMそのものが邪魔・売り場面積の無駄になるのではという反発、さらには前後に似たような情報販売端末「デジキューブ」などの展開で痛い目にあった(あっている……デジキューブの自己破産は2003年11月)経験から、その存在をいぶかしがる声もあった、コンビニATM。
しかし今調査結果を見る限り、いや経験則などから見るまでもなく、いまやコンビニ自身とコンビニを利用する多くの消費者にとって、コンビニATMは欠かせない存在になっているようだ。
なお余談ではあるが、コンビニATMで利用している金融機関は上位三行が「三菱東京UFJ銀行」「地方銀行」「三井住友銀行」の順だった。コンビニATMの歴史上古くから関わっていたこともあるが、【メインバンクは「地銀」「三菱」「郵便局」】にもあるように、地方銀行以外では「三菱」「三井」の両行は地域との相性がよいらしい。コンビニとの関係が良好なのも、このあたりを一因としているのではないだろうか。
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