麦類合計で年平均の42%減・オーストラリア、干ばつの影響で小麦などの生産量を再び下方修正

2007年11月03日 12:00

小麦イメージ【Financial Times】が伝えるところによるとオーストラリアは10月30日、自国の小麦生産量を6週間前に発表した直前の予想である15.5億トンから12.1億トンに下方修正した。これは6月に発表した予想量22.5億トンの約半分に相当する量でしかない。

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【オーストラリアの干ばつ続く、農業が危機的状況に】【オーストラリアでの干ばつ続く、食用油も値上げか】でも伝えているように、オーストラリアではここ数年、歴史的な干ばつが続き同国農業に大きな影響を与えている。10月30日に【オーストラリア農業資源経済局(Australian Bureau of Agricultural and Resource Economics、ABARE)】が明らかにした最新レポート(【australian crop and livestock report、PDF】)によると、干ばつの影響で小麦の生産予想量をさらに下方修正する必要があったと説明している。

しかしこの12.1億トンは昨年の実収穫量である9.8億トンよりはまだ多く「もっとも恐れていた予想」よりは上回っている。

最新レポートによる8月から10月におけるオーストラリアの降水量。赤が少なく青が多い。白は平均並み。多くの地域で雨が少ないことが分かる。
最新レポートによる8月から10月におけるオーストラリアの降水量。赤が少なく青が多い。白は平均並み。多くの地域で雨が少ないことが分かる。

また同様に大麦についても前回予想の5.9億トンから5億トンに下方修正、菜種も1.1億トンから0.9億トンに下方修正。これら三種類をあわせた麦類の総計生産量を前回予想の22.5億トンから18億トンに下方修正している。ちなみに過去五年間の麦類生産量の平均は31億トンで、この平均と比べると42%減となる(もっとも昨年の収穫高14億トンと比べればまだ4億トン多い)。

小麦は昨今において、新興国の需要増加、生産そのものの減少、さらにはバイオエタノールのニーズ、食生活の変化による肉類の需要増加に伴う穀物消費量の増大で、慢性的な不足状態に陥り、価格は急騰している。

シカゴ小麦の週足チャート
シカゴ小麦の週足チャート。9月下旬以降、「市場における」小麦あまり現象からか急落しているのが分かる(【フジフューチャーズ】より)

しかしここ数か月の間は小麦の国際価格は下落傾向にあり、さらに国際市場においてオーストラリアを抜いてトップの流通量を誇るアメリカでは記録的な生産量(作付け面積で前年比+6%の64億エーカー)が予想されている。オーストラリアの農業主にとってはマイナス要因ばかりが増えるありさまといえよう。

日本ではオーストラリアの小麦への依存度はそれほど高くはないので、大きな影響は生じないものと思われる。しかしオーストラリアにおける干ばつと農業生産量の減少が今後も続くようならば、中期的な小麦をはじめとした麦類価格のさらなる上昇の一因になることは間違いあるまい。


(最終更新:2013/08/18)

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