製造業でもっとも稼いでいるのは任天堂・一人あたり1.8億円を生み出す

2007年11月05日 06:30

1954年の閣議決定に基づいて発足された財団法人を基盤とする非営利団体【社会経済生産性本部】は11月2日、生産性年次報告書2007年版を発表した。それによると東証一部上業企業で2006年度の名目労働生産性がもっとも高かったのは製造業部門では[任天堂(7974)]でその額は1億8000万円あまりであることが明らかになった。輸送機械部門の[トヨタ自動車(7203)]の約3000万円などと比べてもずば抜けて高額であることが分かる(【発表リリース】)。

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労働生産性とは従業員一人当たりでどれだけの付加価値を企業が生み出しているかの値を指す。この値が高ければ、人数に対して多くの価値を生み出していることになり、要は「効率よく稼げている」ことになる。例えばある企業(従業員1000人)が1年間に100億円の付加価値を生み出していれば労働生産性は100億円÷1000人で1000万円になるが、従業員が半数の500人で同じ額だけ生み出していれば労働生産性は2倍の5000万円となる。

今回発表された2006年度の名目労働生産性は、単独決算ベースであり、さらに企業により決算月が異なるため単純比較は出来ないが、それでも任天堂の値がずば抜けて高いこと(つまり「大いに稼いでいる」)が分かる

製造業の労働生産性上位30社
製造業の労働生産性上位30社

あくまでも製造業だけの順位で他の業態は公開されていないのが残念だが、任天堂の生産効率がいかに高いかが分かるグラフといえる。付加価値額総額は「ちょっと他より高い」程度であるが、従業員数が少ないため、効率が極めて高いという結果を生み出している。任天堂の名目労働生産性が1億8041万円という値は、「任天堂の社員は2006年に一人当たり1億8041万円分の価値を生み出した」を意味する。岩田聡社長や宮本茂開発本部長から一介の社員まで、全部均(なら)してこの額である。

レポートにも説明されているが、このように任天堂の値が突出しているのは、WiiやDSのヒットセールスで売上高が倍増し、付加価値額も前年度比で2.4倍ほどにふくらんだことが理由。WiiやDSのヒットが名目労働生産性の点でも任天堂をトップに立たせたことになる。

他には【ファナック(6954)】【エルピーダメモリ(6665)】【キーエンス(6861)】などの特定分野で強い競争力を持つ企業や、【大平洋金属(5541)】【住友金属鉱山(5713)】など資源価格の高騰の恩恵を受けた企業も上位についている。

なお表は公開されていないが、輸送機械分野ではトヨタ自動車が3402万円で、精密機械分野では【キヤノン(7751)】が4267万円でそれぞれの分野においてもっとも高い労働生産性を誇ったとのこと。

グラフ中付加価値額がずば抜けて高いのに労働生産性上はさほど上位に居ない企業は、それだけ多くの従業員を抱えていることになる。だからといって単純に「効率が悪い」と言い切ることはできない。多くの従業員を持つ企業は、それだけ「従業員の雇用を確保する」という社会的責任を負っていることになるからだ。

もちろん「従業員の少ない企業は社会的責任を果たしていない」という意味ではないことも添えておく。それぞれの企業にはその企業の体質・属性・事業スタイル・経営戦略・財務状況などにマッチした従業員数があるという話に過ぎない。

ともあれ、任天堂の「大きさ」には改めて感心せざるを得ない数字であることに違いはなさそうだ。

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