花粉症対策医薬品、今年は前年比10%の伸び

2007年11月12日 06:30

スギ花粉イメージ【富士経済】は10月29日、4テーマに分類した一般用医薬品市場の売上動向を発表した。それによると花粉症対策市場においては全体で2006年が391億円だったのに対し2007年は430億円の売上が見込まれ、売上の伸び率では10.0%もの成長が期待できることが明らかになった。一般用医薬品全体市場が伸び悩む中、患者が増えると共に症状が辛い「花粉症」の対策医薬品にかける消費者の期待が売上向上につながっていることが推定できる結果となっている(【発表リリース】)。

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今調査は2月から6月にかけて14分野65品目の一般用医薬品に対して行なわれ、さらにそのメーカー31社も調査の対象となった。詳しい調査方法や対象などは公開されていない。今回公開されたのは、新たに追加された調査対象項目である「メタボリック対策」「尿失禁対策」「花粉症対策」「関節痛対策」の4つについて。

一般用医薬品市場が横ばい、あるいはやや縮小傾向にある一方で、これら4項目については最近特にニーズが拡大し、それと共に売上も伸びる傾向が見られる。今回あえてデータが公開されたのも、注目されている市場ならではのことだろう。

今回はその4項目の中でも特に読者が気になるでろう「花粉症」項目について中身を見てみることにする。

花粉症対策市場は10.0%の伸び

一般用医薬品の中で「花粉症対策」のものとしては「治療目的」「予防目的」の二項目と予防目的の衛生雑貨、合計で三項目に分類。「治療目的・一般医薬品」は鼻炎治療剤、アレルギー用点眼薬、抗ヒスタミン剤、漢方処方エキス製剤(小青竜湯)。「予防目的・一般医薬品」は洗眼薬。「予防目的・衛生雑貨」は鼻孔拡張テープ、鼻洗浄剤、家庭用マスクが対象。

花粉症対策市場
花粉症対策市場

花粉症対策市場は元々花粉症患者(予備群含む)の増加と共に拡大してきたが、その年その年の花粉飛散量(≒花粉症の酷さ)にも影響を受けやすい。2006年は2005年よりも飛散量が減ったため、インフルエンザやはしかの流行などで花粉症以外の目的にも利用されることが多いマスクの需要が増えてその分の売上は伸びたが、市場全体は5.8%減の391億円に落ち着いたという。

今年2007年は花粉の飛び散りが例年より早く、もっともニーズが増える2月から3月においては鼻炎治療剤が2006年と比べて大幅に拡大したことだけでなく、昨年に続いて家庭用マスクが好調だったことから、前年比10.0%増の430億円が見込まれるとのこと。

先日紹介した「メタボリック症候群市場」と比べれば数分の一の規模に過ぎない「花粉症対策市場」だが(【メタボ対策薬事品、今年は前年比14%の伸び】)、体質改善や特効薬がたまたま効いて「治った」人をのぞけば、毎年必ず多かれ少なかれ症状が発生しうるため、ニーズは必ずといってよいほど存在する。

【厚生労働省の花粉症対策専用ページ】の解説によれば、花粉症の原因は体の免疫反応過剰反応によるものだと定義されている。体の免疫機能そのものに問題を持つ人が増えているのか、反応を示さざるを得ないほど環境が悪化しているのか、その双方なのかは不明だが、原因を考える限りにおいては、今後も花粉量の増減に左右されながらも患者数全体は漸増することだろう。


(最終更新:2013/08/18)

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