食料品の一部でやや堅調さ…2007年10月度のチェーンストアの売上高、前年同月比-1.0%
2007年11月23日 12:00
【日本チェーンストア協会】は11月22日、チェーンストア(スーパーやデパートなど)の2007年10月度における販売統計速報を発表した。それによると食料品の一部でやや堅調さを見せたものの全般的にふるわず、店舗調整後の総販売額は前年同月比で1.1%ものマイナスを記録した。先月同様に秋もの商品、特に衣料品全般の売上が伸び悩み、売上高を下げる原因となった。(【発表リリース】)。
スポンサードリンク
今調査結果は協会加入の79社・8744店舗に対して行われている。店舗数は先月比で54店舗増、前年同月比で70店舗減。売り場面積は先月同様に増加しており前年同月比101.7%と1.7%ほど増えている。
店舗面積は増えているものの売り場1平方メートルあたりの売上高は前年同月比で97.8%と先月同様に前年同月比でマイナス状態が続いており、一方で従業員数は100.9%と増加している。これだけを見ると先月と同じく採算性は悪化しているようである。
以上のような状況は先月・先々月同様であり、チェーンストアをとりまく環境が以前として厳しいままであることがうかがえる。売り場面積が増えてもそれ以上に面積単位の売上高が減っている、というよりはむしろ「面積を拡大しても売上の増加には結びついていない」というのが実情だろう。集約化による効率向上と顧客サポートサービスの拡充(従業員の増加)で客足を増やし単価を上げようと努めてはいるが、成果は現れていないようだ(先月と比べれば前年同月比において、やや改善は見受けられるが……)。
分野別では前年同月比でそれぞれ次のような値が出ている。ちなみに数字はすべて店舗調整後(1年前のと比較するため、昨年存在しなかった店舗の分を除いた値)によるもの。
■総販売額……1兆1339億0497万円
・食料品部門……構成比:61.0%(前年同月比100.4%、△0.4%)
・衣料品部門……構成比:10.8%(前年同月比95.3%、▲4.7%)
・住関品部門……構成比:19.5%(前年同月比96.7%、▲3.3%)
・サービス部門…構成比:0.4%(前年同月比99.5%、▲0.5%)
・その他…………構成比:6.2%(前年同月比100.0%、±0.0%)
新築住宅用の家具など
住関品の売上低下も
先月同様。
10月は9月ほどではないものの残暑が厳しく、前年比でプラスを記録するところが多く、また東北地方など一部地域を除けば降水量も少なかった。このような自然環境を受けてエアコンやアイスクリーム、飲料などは売れたものの、秋物が全般的に大不調。特に婦人衣料や雨モノ関係衣料の動きが鈍い。これが全体的な売上を押し下げることになった。
衣料品部門では先月ほどではないものの、他部門より前年同月比で低い売上高を記録している。全体に占める割合が1割程度なので総計の売上にはさほど大きな影響を及ぼさなかったものの、単独の分野では先月から引き続き部局長の顔が青ざめるような値。気象は売り場担当者にコントロールできるものではないとはいえ、出てきた結果はあまりにも厳しい。あるいは衣料品そのものが低迷の時期に突入しているのかもしれない。
また先月同様に住関品も大きな下げを見せている。特に「家具・インテリア」(▲1.9%)「家電商品」(▲5.4%)の下げが厳しい。それぞれの具体的商品名を見てみると、前者は「コタツ」「インテリア家具」「組み立てボックス」が不調、後者は「テレビ、ビデオ、洗濯機、冷蔵庫」「電化調理器具」が不調と説明されている。これらの商品は通常の生活ではさほど買い替える機会はなく、引越しや新居を建てた時にまとめて注文することが多い。
住宅着工の減少が
先月から引き続き
住関品売上の大幅減少に
関与している可能性。
【改正建築基準法で影響を受ける周辺業界たち】でも説明したように、建築基準法の改正による行政側の不手際で、新築住宅の建築のペースは大幅にダウンしている。この影響がチェーンストア業界における、特に住関品関連の売上を押し下げている可能性は高い。
運用上での柔軟姿勢や審査員の増強などで対応が見られるが、同法改正による建築業界の不振はまだしばらく続く。それに足を引きずられる形で、住関品関連の売上、しいてはチェーンストア全体の不調もしばらく続くかもしれない。
(最終更新:2013/08/18)
スポンサードリンク
ツイート