歩いているだけで携帯電話が充電できるシャツが出来る……かも?

2007年10月29日 06:30

シャツイメージ【シドニー・モーニング・ヘラルド】によると、ちょっとした動きで携帯電話やiPodなどのポータブル電気機器を充電させる程度の電気を起こすシャツが開発途中にあるという。開発リーダーのAdam Best博士氏いわく、「将来携帯電話やMP3プレーヤーの電池切れを心配することはなくなるよ(People would never again have to worry about their phones or MP3 player failing because of a flat battery.)」とのこと。

スポンサードリンク

記事によるとこの技術開発にはオーストラリアの軍部から440万ドルもの支援を受けて行なわれているCSIROプロジェクトといわれているもの。5年以内にはこのプロジェクト内の充電シャツ事業部局ことEnergy Technology事業部において、最初の「充電シャツ(power shirts)」が完成するだろうとしている。

この「充電シャツ」のヒミツはPiezoという電気繊維素材にあるという。これを曲げるなどの変形をした時に、充電される電気が発生する仕組みとのこと。この素材を織り込んでシャツを作れば、一定の振動(つまり歩いたり走ったりなどの一定の動き)で電力が作られるという。

Piezo素材そのものは【こちらのページに詳細がある】が、要は運動エネルギーを電気エネルギーに替える能力を持っている圧電性の材料とのこと。

またこのシャツには自在に変形できるバッテリー(シャツに織り込まれるのだから当然)が組み込まれ、そのバッテリーに発電された電気が充電される(プリント基板を用いるという表記もある)。利用者はこのバッテリーにプラグを差し込んで、携帯電話などを充電するのだという。

軍がこのプロジェクトに多額の資金を供給している理由も説明されている。軍では通信用のラジオをはじめとする(個人向け)電子装置を稼動させるのに、この充電シャツで用いる素材を軍服に折り込もうとしているとのこと。ただし現在では重量や洗濯ができないという問題があり、これらのハードルをクリアするために研究が続けられている。

今でも例えば腕時計などで、手の振動によって内部のぜんまいが自動的に巻かれる仕組みのものは存在する。似たような仕組みで電気を発生させて充電をするものもあるかもしれない。しかし電力を生み出す繊維素材でシャツを作り、同じくシャツに組み込んだバッテリーに充電させるという発想はあまり耳にしたことがない。

実用化を果たすには、重量や洗濯ができるかどうか以外に充電効率の問題や安全性(走り回って過充電し、感電したり発火したのではお話にならない)の問題、そしてコストの問題もあり、短期間で実用化されるとは思いにくい。しかし仮にこの話が現実のものとなり、一般に流通する商品が登場すれば、携帯電話の最大の弱点である「充電問題」がクリアできることになる。話半分(個人的には話三割程度にしか思っていないのだが)としても、期待したい話であろう。

なおこのCSIROプロジェクトにはそのほかにも、今件の繊維素材技術を用いて「音楽シャツ」も開発していると元記事では伝えている。いわく、着ているだけで「エアーギター」のように曲をかなでることがことができるとのこと。もっともこちらは何の役に立つのかは不明。軍でエアーギターを装備して、楽器を持たずとも戦地で軍楽隊が組織できるようにするのだろうか。


【トリガー記事:Popgadget】

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ