防衛省技術研究本部、陸上装備として「ガンダム」の実現を模索
2007年10月29日 06:30
【防衛省技術研究本部】は10月29日までに、11月7日と8日に東京新宿のホテルグランド市ヶ谷で開催される「平成19年度研究発表会~防衛技術シンポジウム2007~」の概要を発表した(【発表ページ】)。防衛省が現在開発している数々の兵装や技術に関するお披露目の場ということだが、その展示品目の中に「陸上装備」カテゴリーとして「ガンダムの実現に向けて(先進個人装備システム)」という表記があることが明らかになった。
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これは公表資料中の【研究発表会プログラム(PDF)】に記載されていたもの。プログラムでは発表会内の各会場における詳細なスケジュールと共に、展示コーナーでの展示品目の一覧が掲載されている。その中の陸上装備部分に「ガンダムの実現に向けて(先進個人装備システム)」が表記されている。公開資料ではテキストのみで、具体的にどのような展示物があるのかは分からない。
展示セッション部分に「ガンダムの実現に向けて」の表記(赤丸は当方で追加)
カッコ内の説明書きに「先進個人装備システム」とあることから、大型モビルスーツというよりは個人装着用のパワードスーツの発展型として、誰にでも一発で分かる「ガンダム」という表現を用いたのだと思われる。しかし周囲には「新戦車・新架橋・高精度化弾薬システム」だの「小型ロボット」だの「次期固定翼哨戒機・次期輸送機模型」などの文字が並ぶ中で「ガンダム」の文字を見かけるとは思いもよらなかった……という人は多いことだろう。
ガンダムといえば同じ研究発表会で、弾道評価関連技術(要するに弾道ミサイルから日本を守るために開発されている装備の技術)の一つとして「弾道ミサイル防衛用誘導弾主要構成要素(DACS:Divert and Attitude Control System)の研究試作の成果及び新弾道ミサイル防衛用誘導弾の概要」というものが発表される予定だが、こちらも気になる装備の一つ。
DACSを用いた新弾道ミサイル防衛用誘導弾の概要
【この要綱書(PDF)】や【最新公開資料】を見る限りでは、(ミノフスキー粒子は使っていないし重力圏内での運用ではあるが)「Zガンダム」から登場しているファンネル(小型無線式のオールレンジ攻撃用兵器)にコンセプトがかなり似ている。もちろんファンネルが攻撃兵器であるのに対し、DACSを用いた装備は新弾道ミサイル防衛用誘導弾という「防衛・防御装備」であり、性格はまったく正反対のもの(さらにファンネルはビーム砲を搭載しているが、防衛用誘導弾は体当たりで敵弾道ミサイルを破壊する)。
科学者たちの少なからずの人たちは、かの「鉄腕アトム」の実現を夢見ているという話を聞いたことがある。また「ドラえもん」を現実のものにしたいという考えを持つ人も多く、例えば【バンダイ(7832)】では2010年までに出来る範囲で作り上げようと「Real Dream Doraemon Project」を推進している。
漫画や映画、小説などの空想上の産物はリアリティを出すために、多かれ少なかれ現実の延長上の技術や可能性の高い未来的なアイディアを取り入れている。また、「こうなったらいいな」という発想も盛り込まれていることが多い。それらの「想い」が技術開発の上で参考にされ、あるいは気が付けばいつの間にか同じ道を歩んでいた、ということもあるのだろう。
実際に陸上自衛隊が本気でガンダムそのものの装備を想定しているわけではないだろうが、果たしてどのような装備を模索しているのか。興味深い話ではある。
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(最終更新:2013/09/08)
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