【更新】アミノ酸「グリシン」で睡眠の質・量が改善!?
2007年10月25日 08:00
【味の素(2802)】は10月24日、アミノ酸の中でも「グリシン」が、睡眠に対して「深い眠りの時間を増やす」ことや「質」を向上させる効果があることを明らかにした([発表リリース])。
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「グリシン」とは1820年にゼラチンから抽出することに成功した物質で、ギリシア語の「甘い」を表す「glykys」からつけられたもの。もっとも小さく・古いアミノ酸の一つで自然界には豊富に存在する、非必須アミノ酸。ホタテやエビなどに多く含まれる。日常生活ではたんぱく質経由で3~5グラム摂取しているといわれている。またグリシンについては味の素は以前から研究を続けており、これまでにも睡眠に深く関わる物質であることが判明している(【一覧ページ】)。
●グリシンは「深い眠りの時間を増やす」
深い眠りにつくと深部体温が低下することが知られている。また、同時に足の裏の表面血流が増加するため、深部体温の減少は表面血流が増加して熱放散が行なわれるためだと思われる。
そこでラットを用いてグリシンの有無で深部体温や足裏の表面血流の変化を見たところ、明らかにグリシンを投与した方が温度の変化(深部体温の低下・足裏血流の増加)が大きく見られた。さらに人間にグリシン食とプラセボ(似たような外見で中身はグリシンでないダミー的なもの)を摂取させて深部体温に相当する直腸温を測定したところ、やはり同様の効果が得られた。
人間に対する直腸温の変化。グリシンまたはプラセボを0分で摂取し、図中の矢印で床につかせた。縦軸に(グリシン摂取時の直腸温)-(プラセボ摂取時の直腸温)をとると、グリシン摂取6時間後に直腸温は有意に減少し、約6時間持続した。
●グリシンは睡眠の「質」を向上させる
睡眠にはレム睡眠(浅い睡眠)とノンレム睡眠(深い眠り)があることが知られている。そしてノンレム睡眠の方が質の良い睡眠とされている。そこでグリシンを投与することでノンレム睡眠にどのような変化があるのか、ラットに対する脳波測定を行なったところ、グリシンを投与するほどノンレム睡眠の量が深いことが明らかになった(対人実験は行なわれていない)。
ノンレム睡眠時脳波の周波数解析を行った。脳波は周波数が低い帯域が多いほど眠りが深い、つまり質の良い睡眠が取れているといわれている。低周波数の領域においてグリシン投与群(1g/kg)で強度が有意に上昇した。
以上の二点から、グリシンによって人間の睡眠の質を高め、深い眠りにつく時間を増やす、一言でまとめれば「より一層有意義な眠りにつける」可能性が示された。味の素ではこの「グリシン」の睡眠に与えるプラス要素をうまく活用した【グリナ】という商品を開発・販売しており、この商品の効用をアピールする狙いもあるものと思われる。
最近では社会全体が24時間明るい場所が多いことから体内時計がうまく働かず、睡眠障害を訴える人が増えているという。もし「眠り」について気になることがあれば、主治医に相談するのはもちろんだが、このような商品があることも頭に入れておいた方がよいかもしれない。
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