新しいぜん息抑止治療法、理研がマウス実験に成功
2007年10月19日 06:30
理化学研究所は10月18日、特殊な細胞を投与して白血球に免疫を抑える機能を加えることで、アレルギー性ぜん息の症状を抑えることに、マウスを用いた実験で成功したと発表した。研究チームではぜん息だけに限らず、アレルギー疾患の根本的な治療法の一つとして広く利用されることを目指し、臨床開発を進める予定としている(【発表リリース】)。
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理研内の佐藤克明氏率いる樹状細胞機能研究チームでは、免疫機能が過剰反応を起こすことで引き起こされるアレルギー性ぜん息の治療法の開発のため、免疫機能を持つ白血球に着目。マウス実験を進めてきた。その結果、白血球の種類の一つで免疫反応の司令塔的な役割を果たし他の細胞に微生物や異物の情報を伝える「樹状細胞」を特殊環境下で培養したところ、免疫機能を抑える効果が加わることが明らかになった(「制御性樹状細胞」)。
この「制御性樹状細胞」をアレルギー性ぜん息の症状を持つマウスに投与(注射)したところ、ぜん息症状がほぼ完全に抑えられ、さらにその効果は最終投与後少なくとも150日は持続することも判明した。
「制御性樹状細胞」を用いたアレルギー性ぜん息治療法は、これまでの治療法とは性質のことなるものであり、特に既存の治療薬では効果が得られにくい難治性の喘息・アトピー性皮膚炎に対する治療法として有益なのではないか、さらにぜん息に限らずアレルギー性の疾患全体にも有効に作用する可能性もあると期待されている。この「制御性樹状細胞」自身については人間のものでも試験管内で免疫調整機能が確認されているため、人間でも同様の効果が望める可能性が高い。
「制御性樹状細胞」の生成には患者自身の細胞を用いることもできるため、他者の細胞を利用することによって起き得る拒絶反応も心配することがない。副作用に関する言及も無いため、この点でも期待が持てる。
当方(不破)もアレルギー性ではないが幼い時にぜん息をわずらい、長い間苦しんできた経験を持つ(今でも体調不良になると時々症状がぶり返す)。それだけに今回の研究には期待をせずにはいられない。今後の研究の進展と治療法の確立を心から望みたいところだ。
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