脳の神経細胞、規則正しいバランスの取れた食事で大人でも活性・増加!?
2007年10月18日 08:00
【日本ブレインヘルス協会】は10月17日、横浜で開かれた「Neuro2007」で発表された研究内容として、「不飽和脂肪酸であるアラキドン酸(ARA)の摂取により、生後まもないラットの神経細胞の新生が促進される」ことを明らかにした。規則正しくバランスのとれた食事をとることで、神経細胞の増殖がうながされるのだという(【発表リリース】)。
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アラキドン酸(ARA)は細胞膜を校正する不飽和脂肪酸で、特に記憶との関係が深い海馬を中心に脳にも多く含まれる。食品では肉や卵、魚などに含まれており、食事からの摂取が必要な「必須脂肪酸」の一つに数え上げられている。
研究では子どものラットにARAと、ARAと同様の効果を示すといわれているDHAを含んだ飼料を与えて、海馬の神経細胞の増殖程度を調べたところ、ARAについては与えないラットと比べて3割ほどの増加が認められたという(DHAでは統計学的な有意差は認められなかった)。
リリースでは「ARAが神経細胞の増殖にプラス」となった理由について、神経細胞の分裂をうながすスイッチをオンにするたんぱく質がアラキドン酸(ARA)には含まれているのではないかとしている。さらにARAの一部は細胞膜の成分としても使われた可能性も示唆している。
→ARAが不足
→脳の神経細胞が作られにくくなる?
→『やる気が出ない』『うつっぽい』
症状を誘発か
今件は子どものラットに対する検証結果だが、現在研究グループでは大人のラットに対する実験も進行中。そして人間の成人の場合も同じような結果が得られる可能性は十分にあると考えているという。
さらにグループでは「毎日の食事から脂肪を摂っているが、それらの栄養成分も遺伝子に働きかけをしていて、神経細胞の新生に影響を与えている」「神経細胞が作られにくくなると、脳の病気になりやすいとの指摘もある。メタボリック症候群を気にして肉や卵をほとんど食べない生活を続けているとアラキドン酸(ARA)の摂取量が極端に少なくなり、神経細胞が増えにくくなる。すると『やる気が出ない』『うつっぽい』など、脳の健康を損ないやすくなるのではないか」との懸念も示している。いわく「メタボ世代の人も、むやみに肉や卵を避けるのではなく、食べ方を工夫しながら、バランス良く摂る必要がある」とのこと。
感覚的に肉や卵など「血になりそうなもの」を長く食べていないと、何となく身体の奥底にあるパワーが沸いてこないような感じになることは、多くの人が身を持って経験しているはず。逆にスタミナが付く料理を食すると、モチベーションが高まるような感じになるのもよくある経験の一つ。単に栄養分の多い少ないだけでなく、神経細胞の増殖、ひいては脳細胞の活性化という「メンタルの面」でも、人間にとって規則正しくバランスのとれた食事が必要不可欠である、ということなのだろう。
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