オーストラリアの干ばつ続く、農業が危機的状況に
2007年10月15日 06:30
【NICHIGO PRESS】が伝えるところによると、南東部に位置しオーストラリア最大の食糧生産地帯であるダーリン・マレー川地帯における干ばつは危機的な状態が続いており、過去最悪の水準に達していることが明らかになった。同国ジョン・ハワード首相も9月21日、政府による農家支援を拡大する方針を示したという。
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オーストラリアの干ばつが今年も続いていることはすでに【オーストラリアでの干ばつ続く、食用油も値上げか】でお伝えした通りだが、数年来続く水不足で食料品生産をはじめとする農業・畜産業が壊滅的なダメージを受けている。国際的な小麦価格の急騰は中国などの新興国の需要拡大やアメリカのバイオエタノール増産による転作での生産源も大きな要因に違いないが、オーストラリアでの不作も忘れてはならない一因となっている。
元記事によれば今年4月から6月にはまとまった雨が降り、6年間続いた干ばつが終わるのではないかという期待があったが、8月に入ると気温が上昇した上に雨も少なく、結局思ったほどの貯水量増加にはつながらなかったとのこと。
オーストラリアのマゴーラン農林水産相も9月17日、今後状況を改善するような降雨が無い場合、さらに農業危機が加速すると警告すると共に、緊急支援策として4億3000万ドルの拠出を決めたという。
オーストラリアにおける5月から7月の降水量。
水色が平均以上、赤が平均以下。
本文にあるようにこの季節には
それなりの雨が降った模様。
オーストラリア農業資源経済局(The Australian Bureau of Agricultural and Resource Economics(ABARE))の最新の【農業レポート(PDF)】などのレポートを見ても、現地の農業が干ばつの影響を確実に受けていることが分かる。2006年の段階で「100年に一度の大干ばつ」といわれるほどの水不足で小麦や大麦などの穀物生産が大きく落ち込んだが、今年も平年を2~3割ほど落ち込む見込みだという。
世界全体に占めるオーストラリアの小麦生産量そのものは10%前後とそれほど高くはないが、【農林水産省が10月に発表した食料関係のレポート(PDF)】によると、2006年の時点で日本は小麦輸入全体量の21.9%をオーストラリアに頼っている。オーストラリアの干ばつ=小麦生産量の減産で日本が受ける影響は少なくない。
農業関係のニュースではアメリカのバイオエタノール絡みの話や新興国の需要拡大のばかり報じらている。しかし、身近で大切な貿易相手国の一つであるオーストラリアの現状も(特に歴史的水不足が続いている今、)折に触れて確認しておくべきだろう。
(最終更新:2013/08/19)
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