連想しやすい企業コピーは「お口の恋人」「あしたのもと」「あなたと、コンビに」
2007年10月11日 08:00
【日経BPコンサルティング】が10月5日に発表した「コーポレート・メッセージ調査2007」の結果まとめによると、企業そのもののキャッチコピー(コーポレート・メッセージ)でもっとも分かりやすいのはロッテの「お口の恋人」であることが明らかになった。5割以上の人が企業名が正しく連想できたコピーは問い合わせした件数235社分のうちわずか7社分というように、企業側の思惑が一人歩きしている感がうかがえる。
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今調査は235件の企業側コピーに対し問い合わせを行なったもので、調査期間は7月。有効回答数は1万5175件。属性などは明らかにされていない。
●半数以上の人が企業名を連想できるのはわずかに7社のみ
企業そのもののキャッチコピーのみを提示してその企業名が分かる「企業名想起率」について調べたところ、トップはロッテの「お口の恋人」、続いて【味の素(2802)】の「あしたのもと」がついている。
企業名想起率上位20
例えば【吉野家(9861)】の場合「うまい、やすい、はやい」ではなく「牛丼一筋八十年」ではないのか、という疑問もあるが、案外いわれてみれば「その言い回し自身は何度と無く耳にしているが、具体的に企業名を挙げてみろといわれると思い起こしにくい」という類のものが多い。過半数の人が社名を当てられるものは【コジマ(7513)】の「安値世界一への挑戦」までの7社しかなかったというののも驚き。
●企業メッセージで一番理解できるのは「うまい、やすい、はやい」
続いて企業名そのものではなく、その考え方が理解できるかどうかについてたずねたところ、吉野家の「うまい、やすい、はやい」がトップについている。
メッセージ理解度上位20
どんなに多くの人に企業との連想性を覚えてもらっていても、その企業コピーそのものに理解や同意が得られなければ、効果は半減してしまう。その点吉野家の「うまい、やすい、はやい」は商品そのものだけでなく企業が目指しているものに対するイメージがわきやすく、理解もされやすいのが容易に分かる、素晴らしいコピーといえる。
企業コピーは自己主張と消費者への好感触さと兼ね合わせ、さらに覚えやすいものでなければならない。このリストに挙げられている上位陣はすべて、「なるほど」とうなづけるものばかり。
●地球への優しさを感じさせるのは日立造船やコスモ石油
最後に企業コピーの中でも「環境への配慮が分かる」ものについてたずねてみた。最近は「地球に優しい」ことがその企業の価値を決める重要な要素となりつつあるだけに、イメージ戦略を確立するためにも「地球に優しい」印象を強く与えるコピーの方が何かと有利になるというもの。
「環境への配慮を意識させる」イメージランキング上位20
企業名そのものを連想させるランキングと比べるとやや具体性に欠けるところがあるが、その企業の環境への取り組み度が分かるコピーが上位を占めている。とはいえ、実際に「地球環境に配慮しているな」と過半数の人に納得させることができたのは235件中わずかに3社、【日立造船(7004)】【コスモ石油(5007)】【イオン(8267)】だけだったのが少々残念。
コーポレート・メッセージ(キャッチコピー、企業コピー……)は少ない文字数の中で、対象となる企業のことを分かりやすくイメージできるようなものでなければならない。説明するのが長すぎては覚えてもらえないし、省略しすぎて何をいいたいのか分からないのではコーポレート・メッセージの意味がない。過不足無く相手に伝えられるか、覚えてもらえるか、それは俳句や短歌と同等、あるいはそれ以上に難しい世界なのかもしれない。
昔はテレビやラジオ、新聞の広告で、「なるほど」と思えるようなコーポレート・メッセージを毎日のように見かけることができたのだが、最近は「ヒット作」が少なくなっているように思える。コピーそのものが飽和状態にあるのか、あるいは送り手のスキルが低下しているのかは分からないが、残念といえば残念。担当の人(企業?)には、企業にとっても消費者にとってもプラスとなるような、素晴らしいコーポレート・メッセージを作り出してほしいものだ。
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