違法動画を自動検出・KDDI研究所が新技術開発

2007年10月30日 08:00

動画イメージKDDI研究所は10月29日、著作権を侵害する動画を検出する技術を開発したと発表した。動画が「プロ制作」か「アマチュア撮影」かを自動判別することで、チェックを行なうとのこと(【発表リリースページ】)。

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リリースによるとこれまでの「アップロードされている動画が著作権法上問題のあるものかどうか」を判断するには「目視」「著作権保有側が該当コンテンツを提供してデータの差異をチェック」などの手法が用いられてきた。しかし前者は労力的に、後者は日々増加する動画に対応しなければならないため、事実上全体をカバーすることは困難。

そこでKDDI研究所では「プロとアマチュアにおいては、それぞれ撮影機器、撮影技術、制作工程などの違いがある」ことに着目。具体的には

・プロ映像は高価な機材を使って高品質。アマチュアは映像品質が低い。
・プロ映像は安定している。アマチュアは手ぶれが目立つ。
・プロ映像は編集が行なわれる。アマチュアは撮影されたまま。


など、各項目におけるデータの特徴や変移をチェック。該当動画がプロのものかアマチュアのものかを判断する。

「プロ・アマ動画コンテンツ判別技術」概念図
「プロ・アマ動画コンテンツ判別技術」概念図

リリースによるとこの技術によって、プロ・アマチュア制作のふりわけを98%の精度で成功したとのこと。また、データの特徴そのものを解析対象とするため、新しい著作権チェック対象の動画をデータとして登録する必要がなく、新規の動画に対しても対応できるという。

KDDI研究所では今技術を動画共有サイトのサーバーなどに組み込み、登録された動画データの問題性についてチェックする手助けになるとしている。

データの特異性を自動的に判断して必要なものを抽出するプログラムを組み込むという考え方は【「マルサの女」も顔負け? 富田林市が航空地図システムで固定資産税もれ物件を500件も発見】の後半部分で少々語ったが、パターンの判定とその傾向からデータを区分して人間によるチェックの手助けをするのは、コンピュータの得意とするところ。

今後編集ソフトの普及やカメラ機材の高性能化によるアマチュア画像の高度化、投稿された映像のメディアでの使用(事件現場などによる「視聴者提供」)や個人・小規模のスタジオなどでの機材による撮影(アメリカでは一人で撮影・記事執筆をこなして各報道に記事を提供販売する「個人報道記者」も多数存在する)など、アマチュアとプロの映像の境目があいまいになる可能性もある。しかし現時点で98%の精度が得られるのなら、人間による視認のサポートとしては十分に過ぎる効果を得られることだろう。

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