日興CG、三角合併第一号でシティグループの完全子会社に

2007年10月03日 06:30

株式イメージ【日興コーディアルグループ(8603)】【シティグループ】は10月2日、アメリカのシティグループの株式を対価となし、日興コーディアルグループ(日興CG)をシティグループの日本法人であるシティーグループ・ジャパン・ホールディングス(CJH)の完全子会社とする「三角合併」を行なうことで合意したと発表した(【発表リリース1、PDF】【発表リリース2、PDF】)。5月に商法が改正され三角合併が解禁されてから、初の実用案件となる。

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すでに【日興、シティグループとの資本業務提携を公式発表・TOB価格は1350円】【シティグループの日興CGへのTOB、本日3月15日から開始】などで報じているように日興CGでは一連の不祥事などで失った信用回復を早めるためと資本力の増強などのため、シティグループの傘下に収まることを決定。現時点でシティグループは67.2%の日興CGの株式を保有していた。

シティグループ側ではTOB時にすでに日興CGの完全子会社化を目指すことを表明していたが、具体的にどのような方法を用いるかはこれまで決まっていなかった。リリースによれば日興CGとシティグループの提携関係を一層促進するため、日興CGをCJHの完全子会社とする、シティーグループ本社との株式交換(三角合併)を行なうことを決意、慎重な検討の末、決定したとのこと。

株式交換の際には、1700円を基準値とし、1700円÷(シティグループ本社の普通株式の平均株価×為替相場)で算出される比率のシティーグループ株式を、日興CGの株主は受け取ることができる。ただしシティーグループ株式が58ドル以上・37ドル以下になった場合にはそれぞれ58ドル・37ドルで計算し、26ドル以下に下落した場合には株式交換そのものを日興CGから解除することができる。

今回の完全子会社化についてCJHのCEOダグラス・ピーターソン氏は会見で「遅滞なく残りの株式を取得することができる手段と判断したため」と三角合併の方式を使った理由を述べた。また株式交換が行なわれれば来年1月にも日興CG株式は上場廃止となるが、交換される先のシティーグループが現在東証へ上場を申請しており、この上場廃止より前に上場を果たす予定。これをもって株主には「株式交換後についても引き続き株式の流動性を提供できるものと考えている」とリリースでは説明している。

なおこの発表を受けて東京証券取引所では同日、日興CG株式を監理ポストに割り当てると発表した(【発表リリース】)。

三角合併についてはすでに【謎の投資ファンド「スティール・パートナーズ」とはその2+三角合併について】で解説済みだが、要は自社株式を現金のように用いて日本の会社を子会社化できるというもの。当然買収される日本の会社側の株価が下がれば(あるいは買収する側の会社の株価が上がれば)買収は容易になる。今回の場合はすでに日興CGが実質子会社化していたことや、不祥事による株価低迷という前提条件があり、三角合併による合併・完全子会社化も十分想定されていた事態ではあった。しかし実際「三角合併第一号案件」として正式発表されたとなると、やはり驚かざるを得ない。

為替レートの問題や上昇が予定通りに果たされるかどうかなど不安定要素もあるが、先日まで1400円台で推移していた日興CG株式は今回の発表を受け、PTS(SBIイー・トレード証券などによる夜間取引)で買いが殺到し、ストップ高近い1641円でも売買が成立しない状態になっている。恐らくは基準値である1700円前後まで、昼間取引でも値が釣りあがることだろう。

一号案件が具体的に発表されたことで、今後さらに他社で三角合併が行なわれる可能性は高くなった。高い技術や日本独自の「会社資産」を持っている、しかも株価が低迷している会社の株主は注意が必要かもしれない。


(最終更新:2013/08/19)

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