【更新】日経・朝日・読売による「ANY連合」正式発表、販売事業分野でも業務提携

2007年10月02日 08:00

新聞イメージ先に【新聞3社連合「ANY」、NHKでも報じられる】【「新聞没落」…週刊ダイヤモンド最新号を読み解く】で報じた、日経新聞・読売新聞・朝日新聞の大手新聞三社による大連合ネット展開構想「ANY」について10月1日、「ANY」というプロジェクト名こそ使われてはいないが正式な形で発表が行われた。単にインターネット分野での共同サイト構築だけでなく、「新聞没落」で大きく取り上げられた新聞販売分野での業務提携なども視野に入れている([発表リリース])。

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三社の共同事業・業務提携・相互援助に関する概要はほぼこれまでに伝えられている通りだが、リリースによると大きく3つの項目に分けて提携が行なわれた。

1)インターネット分野での共同展開

三社共同のサービス展開。「3社の主要な記事や社説の読み比べが出来るサービス」「3社のニュースを共同で配信するためのツールの提供の検討」「2008年初頭サービス開始」「民法上の組合設立を検討。事業費は数億円規模で3社が均等負担」がかなめ。新しい情報としては組合設立や読み比べサービスなどが挙げられる(イメージ的には検索ポータルのニュースサービスのようなもの?)

2)販売事業分野での業務提携

3社で配達の共同化、新聞の戸別配達網の維持・強化。新聞配達業務の効率化が目的。新聞離れが叫ばれ、また新聞販売・配達店に対する「押し紙」問題などが次々表面化している中、基盤の再構築と強化を目的としたものか。今後新聞勧誘員が「読売いかがですか? あ、いらない?? 朝日も日経もあるよ?」などと言ってきそうで怖いものがある。

3)災害時等の新聞発行の相互援助

新聞の発行や輸送が不可能、あるいは困難になった時、三社が共同して互いを支えあうシステムの構築。来年3月末までに正式な協定を結ぶ予定。


リリースの内容は以上であるが、発表時には記者会見が行なわれ、さまざまな発言が伝えられている。[日経新聞]によれば「ネット事業は共通サイトの構築がメイン。原則無料で広告収入モデルを採用」と伝えている。また[読売新聞]では「1社だけでは実現できなかった新たな利益を読者に提供する狙い」「将来にわたって新聞が読者から最も信頼されるメディアとして発展し続けるための“処方せん”を3社が共同で示した形」「今回の合意は守りではなくあくまで攻めの姿勢を貫くための足場固め」と伝えている。

三社共同サイトは
新規新聞顧客も期待できる
ネットニュース読者の
囲い込みが目的

特に気になる「共同サイト」については[読売新聞]によるところが詳しいが、「(流れているニュースはポータルサイトが多いが)取材発信しているのは新聞社であるケースが圧倒的」「ユーザーを各社の公式サイトに誘導するのも狙いの一つ」とし、「3社はネットでニュースを流しているが、ネットを通じた購読申し込みが万単位で存在する」と語り、先の記事でも推測していた「ヤフーなどの既存ポータルサイトに客を奪われるのは面白くない。ニュースを作っているのは自分達なのだから、紙媒体としての新聞購入も大いに見込めるネット上の客を自分達で取り囲み、もっと恩恵をゲットしよう」という、インターネット上のニュース読者の囲い込み戦略が明確に見て取れる。

元々この考えは【52紙から成る全国新聞ネット、ニュースポータルサイト「47NEWS(よんななニュース)」を12月24日から公開】にもあるように、多かれ少なかれ紙媒体の新聞社に共通するもの。新聞大手三社が出し抜く形で今回のプロジェクトが立ち上がったことにより、共同通信と電通がリーダーシップを取った47Newsの立場がなくなってしまうような感もある。

予定通りのオープンが果たされるのなら、「ANY」による共同サイトオープンまであと3か月前後。これから具体的な形が見えてくるであろうし、周辺媒体も色々と動きを見せることだろう。インターネット上でも新聞大手各社が大きく動きだすのは間違いなく、今後の展開に注目したいところだ。

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